COLUMN

第379回 劇場とTV(3)

思い返せば、自分にとって「劇場アニメ」とはジブリでもI.Gでもなく
『龍の子太郎』と『ドラえもん』です!

 1990年代「アニメ」を「映画」の格に持ち上げたのは紛れもなくジブリとI.Gだし、俺もその世代のアニメファンでした。さらに自分はこの連載でも散々説明したとおり「出崎アニメ最高」人間なので、劇場・TVの区別なく出崎アニメに勝るアニメなどこの世にないと思ってます(出崎アニメさえあれば他のアニメは要らん、極論!)——そういったアニメファン・アニメマニア的観点からの「TVよりもゴージャス枠である劇場アニメ」ではなく

映画館で皆で一緒に面白いフィルムを観て
ドキドキわくわくしたイベント体験としての「劇場アニメ」!

は『龍の子太郎』と『ドラえもん』だという事です。
 『龍の子太郎』(浦山桐郎監督・1979年3月公開)はたぶん自分が初めて映画館で観たアニメなのでは? たしか5歳。ずーっと前にもここで思い出話をしたと思いますが、シネマスコープの横長大画面の隅っこで転がる小さなネズミに大笑いし、その大画面を埋め尽くす黄色い稲の山を全部持ち上げたシーンの痛快さに心躍らせ、わくわくしたのを今でも忘れません。その『龍の子太郎』を描いた小田部羊一先生に学生時代作画を教われたのも非常に感慨深いものがあります。
 『ドラえもん』は『のび太の恐竜』(福冨博監督・1980年3月公開)から『雲の王国』(芝山努監督・1992年3月公開)まで13年間毎年観劇。最初は姉と一緒に観に行き、中盤は友達とで『雲の王国』あたりは7つ年下の妹と一緒でした。最後はさすがに妹をダシにして行ってたと思います。毎週TVで観る『ドラえもん』より、真っ暗な映画館での迫力に一喜一憂、「本物のアニメーションとは?」みたいな小難しい事を考える前の、本当に無邪気な「劇場体験」です。
 どちらかと言うと、今監督してる『劇場版カードファイト!! ヴァンガード ネオンメサイア』はそんな俺が子どもの頃にドキドキわくわくした「劇場アニメ」を目指してます。

ヴァンガードに詳しい人もそうでない人も、
普通に観てドキドキわくわくできる単純に面白い作品を!!

 で、その制作もいよいよ大詰め! カロリーメ○トを頬張りつつ毎日毎日原画チェック。