COLUMN

第323回 師匠と弟子

 こないだ『ガドガード』(制作・GONZO)でご一緒した小林治さんのトークライブで10何年ぶりに友永和秀師匠とお話しました。学生時代お世話になった小田部羊一さんやテレコムの新人研修の大塚康生さんのことは、自分は「先生」だと思ってますが、友永さんはいかにも「師匠」といった感じなんです。昔テレコムに金田伊功さんが遊びにいらっしゃった際、友永さんが板垣のこと「コイツ、俺の弟子!」と紹介してくれてとても嬉しかったし、先輩たちとの飲み会でも「俺、お前の師匠だぞ!(笑)」とツッコまれたりもしたし、自分も友永さんは「師匠」だと思ってます。

何しろ自分は友永さんに原画を教わらなかったら、
今までアニメーターを続けてなかった!

です、おそらく。これは決してオーバーではなく、もともと演出志望だった俺は生意気にも「アニメーターは通過点」くらいに思ってたんですけど、友永さんの原画という仕事への取り組み方・姿勢を見て

もしかしたら自分はまだ
本当のアニメの面白さに気づいてないんじゃないか?

って真剣に考えさせられたんです。そのくらい

その背中を見て、友永さんは本当に原画という仕事に惚れてる! と感じて

この人に適当に描いた原画なんて見せちゃいけない!!

と。実際、俺が硬い鉛筆でうっすら描いたラフ原(横着な自分はそのうすいラフに直接4B〜6Bで清書をのっける描き方で)を持っていくと、友永さんは「お前、いきなり達者に描かねーで、もっとグリグリと描き込めよ!」と怒りました。今考えても、とても態度の悪い弟子だったと思います。