1995年は『新機動戦記 ガンダムW』と『新世紀 エヴァンゲリオン』が放映開始された年である。
分岐点ともいえるこの年は、90年代前半を締めくくる集大成的な傾向の作品と、ゼロ年代へと連なる新たな傾向の作品とが、オーバーラップする1年となった。『ガンダムW』は、前者を象徴する1本だった。5人の美少年が5体のガンダムに乗って戦うその内容は、プラモの売り上げを大きく伸ばすことに成功。一方、ハードな政治劇や味わいある台詞、仮面の敵役ゼクス・マーキスなど、ファースト『ガンダム』を彷彿させる要素も復活し、旧来のファンを呼び戻す力を発揮した。さらに、村瀬修功が手がけた端正かつ色気あるキャラクターの魅力が加わった結果、本作は児童層、マニア層、女性層のすべてを取り込む広がりを見せ、ヒットを記録したのである。
少女アニメでは、大地丙太郎の初監督作品『ナースエンジェル りりかSOS』が登場。『セーラームーン』の初期シリーズ構成・富田祐弘が原作を手がける『愛天使伝説 ウェディングピーチ』もスタートしたが、“花嫁”“看護婦”というモチーフが並び立つに至り、『セーラームーンSuperS』との三つ巴のなか、同工異曲の印象はぬぐえなかった。本数的にも題材的にも“戦う魔法少女”路線は飽和状態に達していた。
そんななか、衝撃的なデビューを飾ったのが『新世紀 エヴァンゲリオン』である。制作はガイナックス。監督は庵野秀明。キャラデザは貞本義行。次々と襲い来る異形の敵・使徒と、それを迎え撃つ人型決戦兵器エヴァの、手に汗握る戦闘。謎めいたキーワードが散りばめられた物語の面白さ。碇シンジ、綾波レイなど登場人物たちが織りなす繊細なドラマ。この斬新なロボットアニメの評判は、アニメファンの垣根を越えて広く認知されていった。だが、その熱気が真の意味でヒートアップするのは、むしろ96年になってからだった。
この年、初めてお目見えしたふたつのジャンルについても触れておきたい。ひとつは『スレイヤーズ』。神坂一(文)とあらいずみるい(画)が富士見書房より発表していたシリーズであり、後年、ライトノベルと呼称される分野の、おそらく最初のアニメ化にあたると思われる。もうひとつは『BiT the CUPID』。3DCGで作られた日本初のTVシリーズであり、本作を手がけたスタッフチームが、年末、サテライトとして独立することになる。
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