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第28回 1990年(平成2年)90年代の『サザエさん』こと『ちびまる子ちゃん』の登場

TVアニメ タイトルリスト1990年

 1990年は、ホームコメディの長寿シリーズ『ちびまる子ちゃん』の放映が開始された年である。
 原作は、さくらももこが集英社「りぼん」に連載していた自伝エッセイ風マンガ。日本アニメーションが製作を手がけ、総監督は芝山努が担当。主人公まる子は、無気力とシニカルさを持ち合わせたキャラクターであり、演じるTARAKOの個性的な声質と相まって強烈な存在感をアピール。昭和40年代の静岡県清水市を舞台とした物語も、レトロアニメブームのきっかけを作った。また、エンディングの「おどるポンポコリン」はオリコン年間シングルチャート1位に輝くなど大ヒットを記録。本作の成功は、90年代前半の業界に、少女マンガのアニメ化を促す流れを作り、同時に4コマ原作などをもとにした生活アニメの企画を増加させていく素地を用意した。
 この年は、NHKアニメにも新たな動きがあった。総合テレビでは、それまで劇場やビデオに携わってきたガイナックス(84年設立)が、初めて実制作を手がけるTVシリーズ『ふしきの海のナディア』がスタート。総監督の庵野秀明、キャラデザの貞本義行ら若い才能たちの存在が、ようやく全国区で認知されることとなった。そのほか、NHK衛星第2では、7月に「サンデーアニメ劇場」枠で初の国内向け新作『カラス天狗 カブト』『ロビンフッドの 大冒険』を放送開始。いよいよ衛星アニメ時代は本格化していく。
 ロボットアニメの流れに変化が起きるのも同年である。サンライズは、タカラとともに新たな変形玩具の展開を企図した『勇者 エクスカイザー』を製作。これは、行き詰まったリアルロボット路線から、再びスーパーロボット路線への方向転換を行ったことを意味した。同作は後に“勇者シリーズ”第1作と呼ばれることになる。
 葦プロの『NG騎士 ラムネ&40』にも触れておきたい。コミカルロボットファンタジーの1作であり、敵味方双方のキャラクターが織りなすかけ合いの楽しさは、小山高生率いる脚本家集団ぶらざあのっぽの個性の発露、特に若手・あかほりさとるの活躍に負うところが大きかった。それらはやがて、声優陣の健闘とともにカセットブックやラジオドラマ、CDドラマといった周辺媒体へと派生していく。90年代、キングレコードなどが積極的に押し進めていくメディアミックス。『ラムネ&40』はその重要な出発点のひとつでもあったのだ。

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