1986年は、「ジャンプ」アニメの看板作品『DRAGON BALL』が放映開始された年である。
5年続いた『Dr. スランプ アラレちゃん』の後番組として、同じ鳥山明の人気作を東映動画がアニメ化。前作からの継続スタッフも多く、特に研修生組の西尾大介はシリーズディレクター(SD)補佐に抜擢され、アクション演出家としての才能を開花させていった。本作は、89年に『DRAGON BALL Z』、96年に『DRAGON BALL GT』と改題されてシリーズ化、11年に及ぶ長寿番組として成功を収めることになる。
『聖闘士星矢』のスタートも同年である。製作は同じく東映動画。車田正美の骨太な格闘マンガを、荒木伸吾、姫野美智が華麗にデザインアレンジした。様式美あふれる作画とともに描かれる友情と戦いのドラマは、子供だけでなく女性層にも強烈にアピール。主人公たちがまとう甲冑・聖衣(クロス)も玩具化されて大ヒットした。
一方、鳥山明ととともに80年代をリードした高橋留美子作品もこの年、『うる星やつら』から『めぞん一刻』への交代が行われた。実制作はスタジオディーン。ライバル同士は作品のリニューアルも奇しき因縁にあった。
オリジナル企画はますます減少傾向にあった。そんななか、葦プロの『マシンロボ クロノスの大逆襲』や東映動画の『メイプルタウン物語』など玩具の販促用作品が、準オリジナル的な内容で健闘した。前者では、脚本の園田英樹、キャラデザの羽原信義らが爽快感あふれるロボットヒーローアニメを志向。後者では、研修生組の佐藤順一が初のSDを務め、子供の心情に寄り添った秀作を生み出した。また、日本アニメの『宇宙船サジタリウス』は、イタリアのコミックスを原作としながらも内容はほぼオリジナルで、監督の横田和善、脚本の一色伸幸らが人情味あふれるSF作品に仕上げて好評を博した。ここから受け取れるのは、たとえブームの熱気は去っても、人材は確実に育っており、作品自体は良質なものがコンスタントに生み出されていたという事実である。
家庭用ゲームを題材にした初のアニメにも触れておこう。83年、任天堂が発売したファミリーコンピュータにより、空前のファミコンブームが到来。かつて、アニメと特撮が競合したように、新たな波としてTVゲームが子供たちの日常に加わったのだ。『Bugってハニー』は、その意味で重要な「始まり」を記す作品だった。
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