1985年は、大ヒット作の7年後を描いた続編『機動戦士 Zガンダム』が放映開始された年である。
製作の日本サンライズ、監督の富野由悠季、キャラデザの安彦良和、メカデザの大河原邦男は前作と同様。各アニメ雑誌は事前から盛んに特集記事を展開した。角川書店は番組開始に合わせ、新雑誌「Newtype」を創刊したほどで、誌名が『ガンダム』の劇中語に由来していることからも当時の熱気がうかがえる。ただし、周囲の期待が大きかった反面、肝心のアニメ本編は、カタルシスとは裏腹の暗澹たる物語や結末がファンの賛否両論を呼んだ。一方、高橋良輔監督の『蒼き流星 SPT レイズナー』も切れ味のあるメカ作画で健闘したが、視聴率は伸び悩んだ。番組は打ち切りとなり、物語の終盤はOVAへと持ち越された。この事実は、ビデオ市場の広がりを示すと同時に、TVを中心とした第1次アニメブームが終焉を迎えたことを暗示していた。
1週間に放映される30分アニメの本数は、83年秋に39本だったものが84年春に32本となり、本年春には26本へと激減。アニメファン向けのオリジナル企画についても、上記2作以外に葦プロの『超獣機神 ダンクーガ』やスタジオぴえろの『魔法のスター マジカルエミ』など意欲作はあったものの、全体としては目減りしていく傾向にあった。代わって雑誌原作ものや過去作のリメイクなど、視聴率をとりやすい安全な企画が目立ち始めた。
そうした流れを受け、『タッチ』『ハイスクール! 奇面組』『ゲゲゲの鬼太郎[第3作]』『六三四の剣』などがロングラン放映を確立していく。なかでも『タッチ』は、監督の杉井ギサブローが、スローPANなど演出技法を駆使して原作の間や情感を見事にアニメ化。画用紙への薄塗りに輪郭線をプラスした小林七郎の美術スタイルも的確で、80年代後半のアニメ美術界に多大な影響を与えることになる。『鬼太郎』は、新レギュラー・ユメコを設定し、アクション主体の明るいバトルものにアレンジした点が成功につながった。また、シンエイ動画による藤子不二雄アニメの人気も勢いを増しつつあった。従来の『ドラえもん』『忍者 ハットリくん』『パーマン』に『オバケのQ太郎』が加わったほか、『プロゴルファー猿』など藤子作品だけを集めた1時間枠の「藤子不二雄ワイド」も登場。これはTVアニメがファミリー層向けにシフトしていく状況を印象づけるものであった。
(12.11.29)本文修正
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