COLUMN

第289回 アニメ『てーきゅう』の作り方(3)

 今回はキャラクター作りに関する話。この連載のはるか昔……第16回で「キャラデをやらせて」と呼びかけて以来5年以上経ってようやくクレジットされた「キャラクターデザイン」。でも以前「やりたい!」と喚いていたキャラデと今作のキャラデは似てるようで全然違います。以前は監督抜きで「キャラデのみ」をやりたい、もしくは監督はありでもそれはあくまで「キャラデの人が監督も」って感じで、早い話ダイレクトに「自分の画をフィルムにしたい」という欲求だったんです。5年前に言った事なんで、単純に若かったんですね(苦笑)。実際その後そういった欲求は徐々に鳴りを潜めていき、「ま、人から求められてないんなら大人しく演出オンリーでいこ〜」と思いかけてた時、今作『てーきゅう』! あえてもう一度繰り返しますが「今回は少数精鋭で制作せよ」との会社からの要請により、自分でもキャラを描く事になったわけでして、決して「自分ですべてやる事」が最初からの目的ではないんです。自分の望みとは違って必要に迫られてやったキャラデ。ま、でもどーせやるなら

自分が思う最高に可愛いキャラを描こう!

と。女子の柔らかさと健気な仕草、それがテーマ。全体的にどのキャラも原作——特に連載初期の画に合わせてあります。何しろ、俺に監督依頼がきた時点で連載第1回〜6回までの原作コピーしかなかったし、結果論かもしれないんですがPiyo先生ご自身が模索してる時期の画を土台にして考えたからこそ、板垣画も混ざりやすかったのかもしれません(あくまで無意識にですが)。
 押本ユリと新庄かなえ、2人とも原作1話冒頭の「いきますよ」「こーい」がベースになってます。あれ? あ、そうか。高宮なすのも坂東まりもも、それぞれ2話・3話の初登場の全身像がベースでしたね。ただどのキャラにも言えるのは各々の性格の特徴をハッキリ表情に出すように心がけました。ユリは真面目、かなえは天真爛漫、なすのはお嬢様、まりも変態と。自分は特にロリコンではないけど、かなえがいちばん描きやすいキャラですね、やっぱり。かなえは誰からも愛されるボケキャラで、作画してても描いてる自分が癒されます。逆に難しいのはなすので、たまに見せる「金持ち自慢」をする時のツリ目顔がなかなか可愛く描けなくって。あと結局全員に共通してるのは、原作よりもやや丸顔になってることでしょうか? これは単純に自分のクセです。これは学生時代に作った卒業制作の頃から今までずっと、

お前の画(キャラ)は顔が丸くて頭デカい!

と指摘され続けてて、もうしようがなさそう。だって

じゃ、来週は『てーきゅう』コンテの話。

●『てーきゅう』公式サイト
http://te-kyu.com/

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