1977年は第1次アニメブームがスタートした年である。
再放映を通じてじわじわと視聴率を伸ばしてきた『宇宙戦艦 ヤマト』は、本年8月公開の再編集劇場版では、異例のヒットを記録するまでになった。原動力となったのは10代の少年少女たち、すなわち『鉄腕アトム』開始前後に生まれたTVアニメファン第1世代である。マスコミは『ヤマト』人気とアニメブームを認識し、社会現象として報じ始めた。だが、アニメ業界や一部の出版社は以前からその動きを察知していた。例えばそれは、東映動画が76年の『大空魔竜 ガイキング』ですでに移動要塞(母艦)を舞台にした群像劇という『ヤマト』的な要素を導入し、本年の『惑星ロボ ダンガードA』ではさらに原作に松本零士を起用していることからもうかがえる。
この年は、スーパーカーブームの影響でレーシングアニメが量産された年でもある。先鞭をつけたのは前年の『マシンハヤブサ』だが、本年には新たに『アローエンブレム グランプリの鷹』など4本が登場した。
4月、東北新社の子会社・創映社のスタッフが独立し、サンライズスタジオを発展させて(株)日本サンライズを創設。10月には、初の自社作品『無敵超人 ザンボット3』を発表した。監督の富野喜幸は、『海のトリトン』で試みたテーマを押し進め、本作では巨大ロボットによる戦いの犠牲となる市民を描き、正義の曖昧さに迫った。一方、同社は東映本社の下請けも継続し、『コン・バトラーV』の後番組として6月より『超電磁マシーン ボルテスV』を制作。監督は長浜忠夫が続投。敵の美形キャラ・ハイネルの運命劇は、女性ファンの熱烈な支持を呼んだ。
東京ムービー新社は、経営改善の安全策も考慮しつつ、10月に自社作品の続編『ルパン三世[新]』『新巨人の星』を製作。『ルパン』は、再放映でファンとなった若年層を意識し、ハードボイルドタッチを薄めた作りが逆に功を奏し、幅広い視聴者にアピールすることとなった。また、出崎統をチーフディレクターに名作アニメ『家なき子』を発表。本作は、専用メガネを使用する擬似的な“立体アニメーション”としても話題となった。
竜の子プロは「タイムボカンシリーズ」第2弾の『ヤッター マン』が高視聴率を記録して成功したが、9月には代表の吉田竜夫が45歳の若さで死去。イメージリーダーを失った同社は、苦難の時期を迎えることとなる。
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