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第14回 1976年(昭和51年)『キャンディ♥ キャンディ』とロボットアニメブーム

1976年TVアニメリスト

 1976年は『キャンディ♥ キャンディ』の放映が開始された年である。
 水野杏子(名木田恵子)といがらしゆみこが講談社「なかよし」に前年より連載していた少女マンガを、東映動画がアニメ化。20世紀初頭のアメリカとイギリスを舞台に、孤児院で育った主人公の波乱に富んだ運命と恋愛を大河ドラマ的な展開で描いた作品である。本作は『アルプスの少女ハイジ』以降の名作ブームの波と呼応する形で視聴者の心をつかみ、キャラクター人形など関連商品も爆発的な売れ行きを記録。『アッコちゃん』の数倍に及ぶその版権収入は、女児向け作品のマーチャンダイジングに新たな可能性を拓くこととなった。ちなみに、78年には無許可で本作のキャラクターTシャツを販売していた大阪の業者を東映動画が告訴、79年に有罪が確定するという事件も発生。これは、日本の商品化権侵害における初めての刑事事件と言われている。
 本年は、各社競作で巨大ロボットアニメが林立した年でもあった。なかでも『超電磁ロボ コン・バトラーV』は重要である。これは『ゲッターロボ』に始まる変形・合体のアイディアを3機から5機へと発展させた作品だった。スポンサーであるポピーのデザイナー・村上克司は、前作『勇者ライディーン』に続き、それまで原作者やアニメーターが手がけていた主役メカデザインの主導権を完全に掌握。玩具開発がアニメ制作に先行することで、実際の玩具とアニメ映像との距離感は縮まり、子どもたちはTVのシーンを再現して遊べるようになった。また本作は、東映本社テレビ部が、子会社である東映動画とは別個に企画・製作に乗り出した最初の作品としても記憶される。実制作を手がけたのは『勇者ライディーン』を終えたサンライズ・スタジオ。この時期以後、「製作」会社と「制作」会社の分離は顕在化することとなる。著作権や原版権を有し、企画と製作のみを担当する会社が次第に増加する一方、版権や2次使用による収入を持たない現場会社の受難は拡大していくのである。
 この年の6月8日、東京ムービーは経営改善策として営業部門を分離させ、新たに(株)東京ムービー新社を設立。9月9日には専属会社のAプロも切り離され、シンエイ動画として再出発した。ただし、当初は他社の下請けが主体で、シンエイの名が広く知られるには元請け作品『ドラえもん』との出会いを待たねばならなかった。

(12.09.24)本文修正

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