気になるイベントが発表された。
新たなアニメーション映画祭が今年12月に愛知県名古屋市にて開かれるという。名称は「第1回 あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・ フィルム・フェスティバル」(ANIAFF)。愛知県と名古屋市が共催を務め、フェスティバル実行委員会が主催となる。
2日に都内で開かれた記者会見ではイベント全体を統括するジェネラル・プロデューサーの真木太郎、映画祭のホスト役となるフェスティバル・ディレクターの井上伸一郎、プログラム編成を担うアーティスティック・ディレクターの数土直志の3人が登壇し、抱負を述べた。
もともと愛知県の大村秀章知事からジェンコ代表である真木のところに話があり、相談を重ねて今回の開催に至ったという。愛知県はこれまでも「あいちトリエンナーレ」など文化事業に力を入れており、新たな柱を立ち上げたかたちだ。
映画祭は「世界のアニメーションを一望できる」「アニメーションの過去・未来・現在が分かる」といったフレーズを掲げ、コンペティションやカンファレンスなどを催す予定。特にクリエイターを重視し、クリエイターと観客、クリエイターと出資者をつなぐ機能に力を注ぎたいとする。アヌシーを中心に、海外の国際アニメーション映画祭はマーケットの役割も強化してきているが、そうした動きをにらんでのものだろう。特にクリエイターが企画を披露し、そこから作品が生まれるような場所になっていければとの抱負が3人からは語られた。
なお、映画祭の中心となるコンペティションは40分以上の長編を条件とする。世界的なアニメーションの長編化を見つめての対応だろう。募集はこれからで、6月から9月にかけて行われる。審査員等の発表もこれからだ。
さて、登壇者3人の名前を見て驚く読者も多いだろう。この3月に第3回が開催された新潟国際アニメーション映画祭のメインスタッフを務めてきた方々だからだ。会見ではその点にも質問が及んだが、3人は新潟国際アニメーション映画祭を離れ、新たな映画祭に力を注ぐという。新潟は来年2月開催がすでに発表されているが、これは残ったメンバーが進めていくようだ。
ここで簡単に、国内で開催予定のアニメーション関連の主要映画祭を整理してみよう。
2025年6月 EUフィルムデーズ2025(東京) 以下、名古屋、福岡、京都を巡回
10月 第38回 東京国際映画祭
11月 第12回 新千歳空港国際アニメーション映画祭
12月 第1回 あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・ フィルム・フェスティバル
2026年2月 第4回新潟国際アニメーション映画祭
3月 東京アニメアワード2026
8月 ひろしまアニメーションシーズン2026
ご覧のようにかなりの数があり、特に10月から3月にかけての密集が目立つ。アニメーション作品も多いキネコ国際映画祭や横浜フランス映画祭なども加えれば、さらに数は増えるだろう。厳しい競争の時代に入っていると言える。ファンからすればすべてを見て回りたいところだが、そうもいかず、選択を迫られるのは間違いない。いかに特色を打ち出し、地域や行政と連携していくか、各映画祭の手腕が問われている。(B)
第1回 あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル |
会期 |
2025年12月12日(金)~17日(水) |
会場 |
ミッドランドスクエアシネマ、109シネマズ名古屋、NAGOYA試写室、名古屋モード学園&HAL名古屋等 |
公式サイト |