ANIME NEWS

【情報局】「宇野誠一郎の世界」発刊! 貴重な証言で綴る作曲家の素顔

 宇野誠一郎といえば、子供向け番組や舞台などで、長く活躍した作曲家だ。「ひょっこりひょうたん島」『悟空の大冒険』『長靴をはいた猫』『ムーミン』『アンデルセン物語』『一休さん』などなど、今も残る印象的な作品ばかり。井上ひさしの劇団こまつ座の音楽を長年手がけたことでも知られる。2011年に84歳にて逝去。
 錚々たる代表作を持ち、広く名が知られているにもかかわらず、まとまったかたちで彼の業績が振り返られることは、これまであまりなかった。伊福部昭のような例外を除けば、劇伴作曲家の本が出ることはあまりないのだが、その足跡に比して、いささか寂しい状況だったことは否めない。そんな不満を覆す大著が、先ごろ刊行された。
 「宇野誠一郎の世界」はA5サイズ、函入で400頁超という大ボリューム。宇野のこれまでの発言を渉猟し、多数の関係者の寄稿と証言で、彼の音楽に迫る。巻末には現時点で分かる限りの作品リストも掲載されている。アニメファンにとっては、熊倉一雄や柏原満、おおすみ正秋らのインタビューが特に興味深いだろう。近年になって行われた故・田代敦巳との貴重な対談の再録もありがたい。
 収録された宇野の言葉を拾い読みしていくと、自身の作品に対して、常に厳しい視線を注いでいたことがうかがえる。好んで役者を歌い手に起用していたのも、単なる技巧以上のものを求めていたからのようだ。そうした厳しい姿勢ゆえに、これまでまとまった記録が出なかったのかと合点がいった。
 編者は音楽系の企画・ライターとして活躍している濱田高志。発行者は宇野夫人で声優の里見京子。この大著を成立させたご尽力に感謝したい。
 残念ながら、本書は私家版のため、一般には流通していない。興味をもたれた方は、発行者へ下記の方法で連絡をとってみてほしい(B)。

宇野誠一郎の世界
濱田高志編
月刊てりとりぃ編集部発行
本体価格5000円+税(送料別)


ご購入を希望される方は、「てりとりぃ」編集部 territory.tvage@gmail.com まで、件名に「宇野誠一郎の世界購入希望」と表記の上メールにてお知らせ下さい。到着後3日以内にお支払い方法を記載したメールを送ります。