ANIME NEWS

アニメ音楽丸かじり(146)
これが音楽アニメの最新形! 『四月は君の嘘』コンピレーションCDが登場!

 最近気に入って頻繁に聴いているのが、11月5日にリリースされた『結城友奈は勇者である』OP主題歌「ホシトハナ」だ。日本でもアメリカでもEDMのデジタルサウンドが市場を席巻している中で、この曲のゆるやかなテンポ、穏やかなメロディと、ストリングスを駆使した編曲は古典的ですらあるが、それがむしろ独自性となって他の楽曲との差別化につながっている。特にイントロ最後のsus4からドミナント、Bメロに見られるツーファイブの進行などは、近年ではあまり聞かれなくなったものだ。こういった懐かしい作風を楽曲の骨子としながら、サビではタムが力強く16ビートを叩き出し、ストリングスが激しく上昇・下降を繰り返すことにより、懐メロにはない現代感覚を表現している。このあたりは作曲・編曲の両方を手がけた岡部啓一の、構成力の見事さを称えるべきだろう。彼はBGMも担当(MONACAとの連名)しており、12月10日にはサントラがリリースされる予定だ。こちらもストリングスたっぷりで聴きどころも多いため、ぜひこの連載で紹介したいと思っている。

TVアニメ『結城友奈は勇者である』 オープニング主題歌「ホシトハナ」

PCCG-70231/1,350円/ポニーキャニオン
発売中
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 10月から放映中のTVアニメ、『四月は君の嘘』のコンピレーションCD「四月は君の嘘 僕と君との音楽帳」が19日にリリースされる。クラシック演奏家の少年少女が織りなす物語ということで、クラシック好きの僕としては見過ごせない作品だ。本作は2クールが予定されており、この原稿の執筆時点ではまだ第6話までしか放映されていない。CDのリリースはかなり早めと言えるが、それを可能としたのも本盤がクラシックの楽曲のみで構成されたコンピレーション盤だからだろう。しかしながら各曲は既存の音源を使ったものではなく、本作のために新録されたもの。しかもピアノ奏者である主人公・有馬公生と、バイオリン奏者であるヒロイン・宮園かをりのモデル・アーティストとなった、阪田知樹(ピアノ)と篠原悠那(バイオリン)による演奏であるから、『四月は君の嘘』においてはサントラに負けず劣らず重要な楽曲たちと言えるだろう。なお、一部の楽曲のピアノ演奏は河地恵理子が担当している。
 ちなみに横山克によるオリジナルBGMの方は、来年1月21日に2枚組サントラとして発売予定。こちらもピアノが全編にわたって効果的に用いられており、楽しみな内容だ。
 CDは全14曲収録で77分。すべてクラシックの有名曲であり、公生とかをりの担当楽器がピアノとバイオリンであることから、ピアノ曲とバイオリン曲で構成されている。作曲家別で言うとベートーベン、クライスラーが2曲ずつ、ショパンが最多の5曲を占めている。ブックレットには楽曲解説も付属する予定だ。ちなみに、公生とかをりの出会いを飾った『天空の城ラピュタ』からの楽曲「ハトと少年」は、残念ながら収録されていない。
 1曲目に収録されているのが、ベートーベンのピアノソナタ第14番「月光」の第3楽章。アニメ第1話冒頭で、小学生時代の公生がコンクールにて演奏するシーンに使用された。月光ソナタといえば緩徐楽章の第1楽章があまりにも有名であり、分散和音が連続するテクニカルな第3楽章はあまり馴染みのない方もいるだろう。正確無比でテクニカルな、子供時代の公生の演奏スタイルを象徴するような楽曲だ。
 2曲目も同じくベートーベンのバイオリンソナタ第9番「クロイツェル」の第1楽章。こちらは第2話の藤和コンクールでかをりが演奏したシーンにて使用。この曲はバイオリンの4本の弦を目一杯鳴らす重音から始まるのだが、ここでかをりが並みの演奏家とは違うということを、視聴者に強く印象づける演出となっている。
 3曲目はサン=サーンスの名曲「序奏とロンド・カプリチオーソ」だ。第4話で公生とかをりが初めて合奏するシーンにて使用され、物語序盤のクライマックスを形作った楽曲と言っていいだろう。この第4話はその大半が演奏シーンで占められており、難易度が高いとされる楽器演奏の作画を、ハイクオリティで長時間たっぷりと見せてくれた。また公生の「演奏中に自分が演奏する音が聞こえなくなる」という症状を、ビジュアルとして表現した演出も見事だ。楽譜から音符が抜け落ち、ピアノが水没していくイメージの恐ろしさは、演奏経験のある者なら背筋が凍るのではないだろうか。
 5曲目はショパンのエチュード ホ短調作品25-5。公生が5話以降、毎報コンクールに挑むために練習する楽曲だ。ふんだんに不協和音を含んでいるのが特徴で、一聴するとまるでピッチがずれたかのように聞こえる。まだ自分の弾く音が聞こえず、演奏感覚を掴めていない公生の状況を表現するのには、ぴったりの一曲だろう。
 さて、残念ながら現時点で解説できるのはここまで。他の楽曲については今後の話数で登場するだろうから、どのような使われ方をされるのか楽しみに待ちたいところだ。第6話のラストでは、公生のライバルとも言うべき相座武士と井川絵見が登場し、今後はピアノでの競い合いが増えていくものと予想される。
 最後に、本盤に収録された楽曲を実演するコンサートが開催予定だ。12月11日岩手公演(奥州市文化会館)、1月22日関西公演(兵庫県立芸術文化センター)、1月27日関東公演(東京芸術劇場)の3公演となっている。興味のある方は公式ページをチェックしてほしい。(和田穣)

TVアニメ『四月は君の嘘』 コンピレーションCD「四月は君の嘘 僕と君との音楽帳」

ESCL-4302/2,980円/エピックレコードジャパン
11月19日発売予定
Amazon