ANIME NEWS

アニメ音楽丸かじり(127)高音質の本命はハイレゾ配信かBDか。
劇場版『アイマス』のサントラが登場!

 先日、『ラブライブ!』『ガールズ&パンツァー』『新世紀エヴァンゲリオン』など、e-onkyo musicにおけるアニメ音楽のハイレゾ音源配信の動きについてお伝えした。e-onkyo musicのダウンロードランキングでは、コンスタントにアニメ関連作品が上位に入っており、人気のほども上々だ。
 加えて昨年からハイレゾ配信を行っているmoraで、花澤香菜のアルバム「25」のハイレゾ配信を2月26日よりスタートするというニュースがあった。花澤香菜の楽曲は、ストリングスなど生楽器を贅沢に使ったものが多いから、さぞやハイレゾ音質が映えることだろう。
 ハードウェア面では、iriver Astell&Kernブランドのハイレゾ用ポータブルプレーヤー「AK240」(2月21日発売)が話題になっており、ここにきてハイレゾ配信環境がより一層進みそうな気配がある。

 さて、1月25日から公開されている劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』を観てきた。関東地方の大雪の影響で、劇場まで着くのに一苦労。後で風邪をひいてしまうというオマケつきだったが、内容はファンムービーとして充実しており、Xbox360ゲーム時代からのファンである僕にとっては満足のいくものだった。
 矢吹可奈を始めとした、ソーシャルゲーム「THE IDOLM@STER MILLION LIVE!」からのキャラクターの絡ませ方もよかったし、個々のキャラクターにスポットをあてながらも、きちんと天海春香を中軸に据えた作劇もいい。膨大な楽曲ストックを持つシリーズだけに、随所に名曲の数々を絡ませるミュージカル的な作風はTVシリーズから引き継いでおり、目と耳の両方で楽しませてくれる。完全新作のオリジナルだから、121分という長い尺を気にせずに最後まで鑑賞することができた。

 そんな劇場版『アイマス』のサントラが2月5日にリリースされているので、紹介したい。特に注目すべきは、初回限定盤には劇場用5.1chでミックスされたBGMを収録した、Blu-ray Disc Audioが同梱されていること。ここで冒頭の話をつながるのだが、現在高音質での音楽提供形態としてハイレゾ配信が増えつつあるが、BDでのパッケージ提供という方法論もまた考えられる。これがファンにどう受け止められるか、とても興味深いと思うわけだ。
 なお、言うまでもないかもしれないが、CD規格の延長線上にあるSHM-CDやBlu-spec CDとは異なり、Blu-ray Disc AudioはBDドライブでしか動作しないので注意してほしい。さらに5.1chサラウンドに対応したスピーカーやヘッドフォンがないと、真価を発揮できない。なかなかにハイブロウな特典と言えるが、メーカー側は『アイマス』のファンがそれを満たしていると想定したのだろう。
 そして収録曲数がCDは36曲、BDは48曲という違いがある。これはBGMの収録数に差があるためで、主題歌・挿入歌は「Fate of the World」「ラムネ色 青春」「GO MY WAY!!」「M@STERPIECE」「虹色ミラクル」と同数の5曲を収録している。通常盤の内容は、初回限定盤のCD版と同じだ。

 劇場版の内容と絡めながら、収録曲について触れていこう。なお、以下の曲順はCD版の方に準拠している。
 楽曲は基本的にTVシリーズからの持ち越しが中心で、それを劇場用5.1chにリミックスしたものだ。映画は劇中劇「眠り姫」からスタートするのだが、そこで使用された「泡沫の夢」「桜の下に眠るもの」が1曲目、2曲目に収録。映画前半のメイントピックとなる765プロ総出での合宿は、33曲目「ラムネ色 青春」と34曲目「GO MY WAY!!」を歌い踊るシーンが大きな見せ場となっている。
 シリーズを彩った名曲をインスト化してBGMに使用するのも、アニメ『アイマス』の特徴的なスタイルだ。春香と、今回のストーリーでキーパーソンとなる可奈の会話では、TV版主題歌をメロウにアレンジした18曲目「READY!! (BGM VERSION)」がシーンを優しく包み込んでいた。
 物語の中盤は、春香と可奈を中心に悩み葛藤する場面が多い。こういったシーンを飾ったのは、23曲目「はなれゆく想いに」、24曲目「さみしさ」、25曲目「揺れ動く心」、26曲目「春香の葛藤(LONG VERSION)」といった、ピアノやアコギ、バイオリンを用いた切ない楽曲の数々。いずれも高田龍一によるオリジナルだが、メロディが歌謡的で分かりやすく、歌ものから転用された楽曲とも違和感なく共存している。
 劇場版のクライマックスは、全ての葛藤から解き放たれたような爽快なライブシーン。主題歌「M@STERPIECE」を1曲フルでたっぷりと使い、2D作画と3DCGを混在させながら全キャラクターのダンスを描くという、ファンにとってはたまらない場面となっている。作曲は、これまでにも「GO MY WAY!!」「READY!!」とシリーズのターニングポイントとなる曲を提供してきた神前暁が担当。振り付けは、声優としても活躍する能登有紗によるもの。モーションキャプチャーにもStylipSのメンバーが参加している。

 最後にBlu-ray Disc Audioの音質についても触れておこう。このディスクには「5.1chサラウンド ドルビー TrueHD」「5.1chサラウンド リニアPCM(48kHz/24bit)」「2.0chステレオ リニアPCM(48kHz/24bit)」という3種類の音声モードが収録されており、いずれもCD規格を上回るスペックだ。中でも5.1ch TrueHDはやはり図抜けて音の精細度が高く、各楽器がどのような空間で録音されたのか、容易に想像できるだけの臨場感がある。このサウンドに慣れてしまうと、CDの音声はまるでPCM音源のように、複雑な音成分の一部を簡略化して再生したものに思えてしまう。
 ただしあまりにもリアリティがあるので、生楽器とシンセの位相がうまく溶け合わないと感じることもあった。また激しい曲調でも音の分離がよいので、圧迫感に欠ける印象を与えるかもしれない。このあたりはカタログスペックとリスナーの感激が必ずしも一致しないという、音楽ソフトの難しい部分であろう。とはいえ、全体的な聴取体験としては、圧倒的に5.1ch TrueHDの満足度が高かった事は申し添えておく。(和田穣)

劇場版 THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!
オリジナル・サウンドトラック(音楽:高田龍一)

初回限定盤:COZX-848〜9/3,500円/日本コロムビア
発売中
Amazon

劇場版 THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!
オリジナル・サウンドトラック(音楽:高田龍一)

通常盤:COCX-38437/2,940円/日本コロムビア
発売中
Amazon