COLUMN

アニメ様の『タイトル未定』
364 アニメ様日記 2022年5月15日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2022年5月15日(日)
作業の合間にワイフと新文芸坐へ。「川本喜八郎と岡本忠成の世界〈川本喜八郎作品〉」「同・〈岡本忠成作品〉」を鑑賞。4K修復版マスターとリニューアルした新文芸坐の上映システムのおかげで、贅沢な鑑賞となった。僕としては映像よりも、広がりのある音響に感銘を受けた。特に「虹に向って」がよかった。川本喜八郎作品はほとんどが過去に鑑賞したものだった。岡本忠成作品は初見のものがあり、また、バラエティに富んでいて楽しかった。ワイフは「おこんじょうるり」が気に入ったようだ。
この日に上映されたプログラムは新文芸坐のオリジナルではなく、他の映画館でも上映されたものだ。このプログラムとWOWOWプラスの放映、UHD+Blu-rayソフトは同じ内容かと思っていたのだけれど、そういうわけではないようだ。WOWOWプラスは、劇場上映のプログラムに岡本忠成作品の『花ともぐら』『モチモチの木』を追加。UHD+Blu-rayソフトはそれに川本喜八郎作品の『旅』を追加。しかし、UHD+Blu-rayソフトには劇場公開とWOWOWプラスにあった『虹に向って』が入っていないようだ。

2022年5月16日(月)
新しいハードディスクレコーダーが届く。色々と試す。
たまたま放映を観た『はなかっぱ』の「影絵のはなかっぱ」。かなり前のエピソードみたいだけど、ビジュアルの思い切りのよさが凄い(脚本:うえのきみこ 絵コンテ・演出:前園文夫 作画監督:金澤比呂司)。

2022年5月17日(火)
昔からお世話になっているライターさんと食事。先日の早川優さんに続いて、久しぶりにリアルで知人に会った。

2022年5月18日(水)
幾原さんの写真が載っていると知って「anan」2022年5月25日号 No.2299を購入。同じ号の「ハケンアニメ!」特集では辻村深月さんと松本理恵監督の対談もあり。「ハケンアニメ!」公開と前後して、幾原さんと松本さんの記事を同じ号に載せるあたりが「分かっている」って感じ。

2022年5月19日(木)
TOHOシネマズ新宿の8:30∼10:20の回で『バブル』を観る。せっかくだから、大きなスクリーンで観たいと思って、この時間のこの劇場で観た。
42インチの4Kモニターが届いたのでセッティングをする。

今日は島田満さんの誕生日だ。島田さんと同い年になってしまった。

2022年5月20日(金)
43インチ4Kモニターと4K ULTRA HD Blu-ray対応のハードディスクプレイヤーの組み合わせで色々と試す。

以下、感想を思いつくままに。あくまで僕の主観だ。

4K ULTRA HDの『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を視聴。映像はクッキリハッキリ。アジアンな街の看板が色鮮やかでよかった。4Kリマスター版のIMAX上映では「背景が『絵』に見えてしまう現象」が起きたと記憶しているけれど、43インチではそれはないようだ。動画の線がきびしいカットは43インチでもきびしいけれど、致命傷にはなっていない。
4K ULTRA HDの『イノセンス』。これは素晴らしい。画の深みが圧倒的。構図も大画面向き。同じ内容でも作品の魅力が50%増しだ。たまに映像的なノイズ(モアレのような)があるのだけれど、ノイズなのか制作者が意図した処理なのかが判断できない。

43インチ4Kモニターで配信を観る。アニメでよかったのは『化物語』『傷物語』。多分、2Kでの配信。尾石さんの(シャフトの)映像は大画面でも映える。映像の設計がよくできているのだろうなあ。配信でも充分に楽しめたけれど、これはBlu-rayで観たい。

NetflixとAmazon prime videoで4Kで配信されているコンテンツを片っ端から観る。YouTubeの「4K 日本の絶景」みたいなコンテンツが予想以上にいい。

購入するまで、テレビのリモコンでNetflixやAmazon prime videoを起動させられることに魅力を感じられなかったのだけれど、使ってみるとかなり便利。リモコンでYouTubeを起動させることができるのもいい。これは配信を観る機会が増えそうだ。

43インチ4KモニターでDVDソフトを観ると、かなり映像が甘くなる(例外はあるのだろうと思うが)。32インチHDモニターでVHSソフトを観た感覚に近いか。

大味な感想になるけれど、現行の深夜アニメは43インチで意外と見応えがある。ただし、構図が甘いカットはダメージが大きくなる。

2022年5月21日(土)
この日の新文芸坐は、昼間のプログラムが「DUNE/デューン 砂の惑星」と「マトリックス レザレクションズ」。オールナイトが「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol.135 押井守映画祭《4K VS 35mm》編」で『天使のたまご』『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』の3本立て。「マトリックス レザレクションズ」と『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を同じ日に上映するのも面白い。
オールナイトの前に、4Kリマスター版『GHOST IN THE SHELL』を試写で数分だけ観せてもらう。心配だった「背景が『絵』に見えてしまう現象」は、今回は無かった。動画の線もそんなにはきびしくなかった。ただし、これは印象の話なので、他の人が観たらまた違うかもしれない。音響も素晴らしく、新文芸坐の上映システムで上映する4Kリマスター版『GHOST IN THE SHELL』の満足度は高いはず。
試写で「頭から20分くらいのところから再生してください」と言って、市場のシーンから再生してもらった(大体20分くらいだろうと勘で言ったら当たった)のだけど、その後で「ダレ場も観たい。船のカットを」と言ったら「ああ、分かりました」と言って、瞬時に船のカットに飛んだのが凄かった。凄いのは新文芸坐の上映技師さんだ。この場合の船のカットとは、素子がダイビングをする場面の船ではなく、街中の水路を行く黄色い船のこと。そのカットの動画の線がちょっときびしいのだ。
オールナイトのトークのゲストは押井さんと石川光久さん。盛り沢山のトークとなり、25分押しで終了。楽屋でも、トークでも、押井さんから「『攻殻』や『イノセンス』もいいけど、評判がよくない作品の上映もやってほしい」というオーダーが出る。来年のプログラムの課題としたい。