COLUMN

第744回 知らないことばかり

今までの人生、世の流行りモノにほとんど乗らずに生きてきた板垣です!

 うん。概ね世の人が騒ぎ過ぎている物事に関心を向けない(行列には死んでも並ばない)主義なのです。正確に言うと、ハマる回数が極端に少なく、ハマるはハマるけど時期が他人とずれているのです。でも、『あしたのジョー』のように数少なくハマる時はとことん深い(ま、これから先『ジョー』以上にハマるモノはないでしょうけど)。
 WEBアニメスタイルなので、まずアニメに関してで言うと、幼稚園〜小・中学生とあれだけ好きだった藤子不二雄アニメも「藤子不二雄先生がⒶと“F”に分かれた」途端に、『ドラえもん』を観なくなったり、原作が新連載の頃から愛読し単行本も買って、毎週アニメも視聴していた『ドラゴンボール』も、ピッコロ大魔王あたりで読むのも買うのも観るのも止めました。どちらもその後の藤子・F・不二雄先生や鳥山明先生のファンから言わせると「これから」って時だったと思うし、その後どんどん国民的マンガに認定されていったのは皆さん御存知でしょう。
 宮崎駿・高畑勲両監督作品もそう。『母をたずねて三千里』『未来少年コナン』『ルパン三世カリオストロの城』『じゃりン子チエ』が大好きだったのに、スタジオ・ジブリ作品になって“世界中の人々のモノ”になってからは興味を失ってしまいました。それでもジブリ作品に関しては、途中から自分がアニメ業界人になっていたのもあり、後学の為にも、と『千と千尋の神隠し』までは無理して劇場で観てました。でも、はっきりカミング・アウトすると、実は『猫の恩返し』以降、ほとんど観ていません。劇場はおろかテレビ放送でも、チャンネルザッピング中たまたま目にして数分観た程度。『ハウルの動く城』などは当時、特装版DVDまで買ったのに冒頭15~20分しか観ていません。世界中が「ジブリ、ジブリ~」と言い始めると無理してまで観なくなるのです。ただし、どれも嫌いなのではありません!

世界中で大ヒットしているモノなら今、俺が観なくてもいいじゃん! 観たくなった時に観よ!

と思っているだけです。
 これはアニメに限りません。昭和の子供なのにアイドルやプロ野球にも食指が動かず、受験戦争にも参戦せず、車の免許も取らず(根本的に車自体欲しいと思ったことがない)おおよそ、その時代に生まれての標準装備を全て備えていない板垣から見ると、最近唯一の息抜きであるYouTubeは驚きの連続。まず、タレント・スポーツ選手・芸人さんや各分野の知識人・有識者の方々の動画から、一般の方々の大食いから猫動画まで全て並列に並んでるところが良い。自分はなるべく、チャンネル登録で特定の動画を視聴するより、デタラメ・いきあたりバッタリに適当に観るようにしています。その方が、現在の世の中を俯瞰して感じられる気がするからです。
 つまり、前半語った“世の中の流行りに乗らない”とは、

正確な判断を見失うほど、世間に迎合しない主義!

とも言えます。多分子供の頃から本能的にそうだったのではないかと、今更ながらに改めて思うのです。決して「流行り」が嫌いなのではなく、流行りに飛びついてしまう「人間の性(さが)」にこそ、もの凄く興味が惹かれるんです、自分は。別にカッコつける訳でもなく、本当にそうなんだからしようがない。

常に物事の本質——「本当にそうなのか?」と、そこに関しての好奇心が旺盛なのです!

 だから、他人と話が合わないことを今まで恐れた試しがありません。学生時分、周りの皆が『美少女戦士セーラームーン』に夢中になってた際、その中に混じって自分一人だけ出﨑統監督のOVA『B.B』や『修羅之介斬魔剣』の布教活動をしていたのが板垣ですから。そうすると逆に皆がハマってる『セーラームーン』が見えてくるんです。ジブリもそう。ジブリ作品を観た人がこれだけ世界中にいるなら、ノーガードでその中に入って「観たことない」だけを武器にして話し込むと、そのストーリーは分からなくとも、それにハマってる人の考え方が見えてきて、それが分かれば自分は十分なんです。

この仕事を始めて20数年、今更「仕事を忘れて」アニメ鑑賞を満喫したいなんて思いません故!

 ま結局、何が言いたいかと言うと、俺の欲する娯楽としては“YouTubeのダラダラ観(み)”が、一番性に合ってると分かった、と。YouTubeを観てるとジャンル問わず、自分の知らないことを丁寧に説明して下さってる親切YouTuberさんがいらっしゃるし、最新ニュースも映画批評も笑いも俯瞰で観れます。俯瞰で観れるということは、板垣にピッタリな娯楽という訳です。
 ただ、その中でも芸能人ならまだしようがない部分があるんですが、お金持ちYouTuber界隈の方々同士が罵倒し合ってたり、暴露だ! 誹謗だ! 中傷だ! そして謝罪だ~とやってるサムネまで“同列”に混じってて、「もう少し落ち着いて、ご自身も含めて“俯瞰”して見たらいいのに」と思ったりもします。火に油注ぐ感じばっかで、「ご自身のこと、客観的に観たらどう見えてるのか?」を想像して一呼吸置きましょうよ、と。少なくとも、一歩~二歩離れて客観的に見てみると、YouTuberさん個人の恨み辛み、一般の視聴者にとってはどーでもいいことですから、大概。おそらく再生数稼ぎだとは思うのですが、そんなこと繰り返してまで「お金をつかみ取らなきゃ生きていけないというお金持ちの不自由感」が、少々悲しく、自分には映ります。それ以外はYouTube最高!

 結局、何だ今回? ちょっと、俺も自分自身を客観視するため、本日はここまで。