COLUMN

第667回 短いけど続き

 ま、前回のような理由で、我々世代ではかなり重要な位置を占めるはずの受験は、自分にとって不要なものでした。大学受験を「しない」と決めてからは、成績下がりましたよ〜、というより「下げました」よ。それこそ担任の先生に「何かあったのか?」と心配されたくらい。その時、俺「受験しない自分より、大学行きたい人が良い成績とるべきでしょう?」って返したのを今でも憶えています。呆れたような、ガッカリしたような担任の先生の顔も。前回も言ったように、受験が必要だと思って勉強した人たちをとやかく言うつもりはありません。目的を持って努力することは何においても報われるべきだし、素晴らしいことだと思っています。要は、自分——板垣伸にとって必要かどうか? の話。世間で「大学受験が当たり前」という風潮だからとか、どっかの権威ある方がそれぞれの家庭の事情など無視して、公共の電波で発した「大学くらい行っとけ」の一言に影響されたとかの理由でなく、「自分で判断する」ことこそが重要なんだと思うんです。
 ミルパンセに見学に来たアニメーター志望の高校生に「大学や専門学校に行ったほうがいいのでしょうか? 高卒じゃダメですか?」と訊かれたことがあります。この比較的業界ではポピュラーな質問に対して俺が答えるのは、

自分で出す答えならば、高卒だろうが大卒だろうがどちらでも正解! 要は己の将来を切り開くため、なんでも一所懸命にやる覚悟があるなら、後になって「大学行っときゃよかった〜」なんて後悔はしないはずだから!

です。その人にとって必要かそうでないか? はその人個人の決断に「他人のせいには絶対にしないという覚悟」が伴ってさえいれば、どれをとっても正解なんです。そういう意味では、自分、生まれて46年、幾度となく反省はしましたが、後悔した憶えはほとんどありません。