COLUMN

アニメ様の『タイトル未定』
232 アニメ様日記 2019年11月3日(日)

2019年11月3日(日)
三連休2日目。知人とランチに行った以外はデスクワークで、主には「アニメスタイル015」の構成の詰め。
『WOLF’S RAIN』を最終回まで視聴。TV未放映分のラスト4話は、二度目の視聴かな。最終回ラストは覚えていたけど、その前の数話はほとんど覚えていなかった。最終回ラストシーンについては、シリーズ初期からのプランしていたものだろうと思うけど、そこまでの展開は作りながら考えていった感じかな。と思って、確認のため、岡村天斎さんの「この人に話を聞きたい」を読み返す。当然、そのことに触れていた(えらいな、自分)。最後が現代の東京になるのは、最初から決まっていたわけではない。オープニングに現代の東京が出てくるのは岡村さんのアドリブで、それを脚本で信本さんがリンクさせたとのこと。他にも「信本さんは、最初から現代の東京のような場所を舞台にしたいと考えていた」「岡村監督としては『狼』や『楽園』について象徴性や寓意は持たせていない」「脚本では、その場面で主人公達が狼の姿か、人間の姿かは書かれていない。文脈で判断して映像化している」等々。
「なつぞらSP 秋の大収穫祭」も観始める。

2019年11月4日(月)
三連休3日目。外食以外はデスクワーク。「なつぞらSP 秋の大収穫祭」後半を観て、「ちはやふる ー結びー」「ちはやふる-繋ぐ-」「ちはやふる-学び-」を観る。「-繋ぐ-」は実写劇場版第2作と3作の間のエピソードで、ネット配信オンリーのコンテンツ(後に映像特典としてソフトに入った)。全5話で、各話が新作ドラマとメイキングの2本立ての構成。新作ドラマは短いけれど、ファンサービスとしてはなかなかいい。屋台のラーメンの話はコントみたいだった。
午後はYouTubeで「東京国際映画祭のTIFF マスタークラス『アニメ映画史、最重要変化点を語る』」を流しつつ作業。話を分かりやすくするために大胆にまとめてはいるが、商業アニメの歴史について考えるきっかけとしては充分な内容だ。
この三連休は進んでいなかった作業が色々と進んだ。「自分だけで進める作業」が沢山できて、嬉しい。

2019年11月5日(火)
事務所で打ち合わせ2本、16時半から馬越嘉彦さんと打ち合わせ。他は進行中の「アニメスタイル015」、書籍、イベントの準備のあれやこれやで大騒ぎ。ボケモンGOは初日午前中にコバルオンをゲット。
イベントに向けて『おジャ魔女どれみ』を再見中。11話「早起き少女まりなと心の花たば」は『魔法使いサリー』の「ポニーの花園」を意識した話かも。いや、ハーフの女の子が出てくるわけではないけど。それから、『おジャ魔女どれみ』には意外と『ちびまる子ちゃん』の影響があるのではないか(影響を受けているとしたら、サトジュンさん自身)。脱力の描写とか、はづきちゃんの描写とか。6話「ウソつきは友情の始まり」。冒頭シーンで「あ、演出助手は長峯さん?」と思ったら、当たっていた。
20話「ライバル登場!MAHO堂大ピ~ンチ!!」はライバルの「元祖MAHO堂」ができる話。ぼんやりした記憶だと、この展開を、当時、サトジュンさんが「飛び出せ!青春」を意識したと言っていたはず。「飛び出せ!青春」だと、頭師佳孝(柴田良吉)が本家鶴亀堂の息子で、保積ペペ(山本大作)が元祖鶴亀堂の息子。 ちゃんと21話でネタとして「本家MAHO堂」が出てきた。
34話「お母ちゃんに逢いたい!」。来たなあ。ぐいぐいくる。今さらだけど、あいこ親子のモチーフは『じゃりン子チエ』なんだろうなあ。父親と娘が暮らしていて、母親は別に暮らしている。そして、母親は美人(劇中でどれみ達が指摘している)。さらに関西弁。それで「うちは日本一不幸な少女やねん」のセリフが、どれみの「世界一不幸な美少女」になるというかたちのはず(後日追記。『じゃりン子チエ』の件についてサトジュンさんに「それはどうだろうか」と言われた)。

2019年11月6日(水)
午後に「劇場版シティーハンター PRIVATE EXHIBITION」へ。それ以外はデスクワーク。午前中に「村田峻治 ANIMATION WORKS 車輌設定資料」の校正紙が出て、午後に「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」の束見本が出た。それから「中村豊描き下ろしエフェクトTシャツ」の完成品先行分が届く。

2019年11月7日(木)
12時半に社内打ち合わせ。14時に荻窪で打ち合わせ。打ち合わせ相手に『この世界の片隅に』の応援カードを渡す。その後、MAPPAに寄ってから事務所に。それ以外はデスクワーク。
『おジャ魔女どれみ』47話「お父ちゃんのお見合い」は新年のご挨拶から始まるのね(『ど根性ガエル』の正月回みたいなやつ)。本放送は1月2日。お見合いの席で、あいこが相手に嫌われそうなことを言うんだけど、妙にリアルでそれがいい。脚本がノリノリ。見合い相手もいい人で、なんだか邦画っぼいところもあった。ドラマ的にはクライマックスにもうひと押しほしいんだけど、ひと押しがないところが逆に大人の仕事っぽい。
48話「おんぷのメールはラブレター?」。先生がパソコンのメールを使えなかったり、パソコンが使える男子がちょっと尊敬されたり。その男子はリアル世界ではおんぷちゃんと口をきいたことがないのだけれど、おんぷちゃんの公式サイトにメールを送って、返信をもらってたことで友達になったつもりに(実際にはおんぷちゃんからの返信ではなかった)。「この時代」ならではの話ではある。モチーフがトンガっているけど、ギリギリで「痛い話」ではなくしている。いや、「これは痛い」と言う人もいるだろうけど。
49話「パパに会える!夢を乗せた寝台特急」。ぶっちぎりの山内重保演出。これこそ演出アニメ。当時はカット割りが凄いと思ったけど、今観ると感情線と音楽の使い方が凄い。前半の空気感は『花より男子』とか『キャシャーンSins』に近い。
『おジャ魔女どれみ♯』2話「赤ちゃん育ては、もう~たいへん!」は風呂場のシーン(回想含む)が濃くて大変よろしい。『♯』4話「どれみはママ失格!?」は五十嵐先輩のデートシーンがとても山内さん。どれみママのどれみへの平手打ちが素敵(風邪の音と洗濯物で、平手打ちの音と叩く瞬間は隠す)。その後、ハナちゃんの鼻水を、どれみが口ですする展開に。すごい、本気だ。話の本気を、演出が受けとめている。

2019年11月8日(金)
昼までデスクワークで、12時に事務所で打ち合わせ。13時半からSTUDIO4℃で取材。バスと電車で移動して16時からBONESで打ち合わせ。高田馬場で食事をして、事務所に。移動中に連絡をいくつか。自分は行けなかったけど、進行中の書籍に関するブツ撮りもあった。慌ただしい一日。
『おジャ魔女どれみ♯』15話「母の日とお母さんのにがお絵」は「母親のいない子の母の日」の話で、関先生も母子家庭で育っており、そのためにある学校で働くことができなかったというエピソードがメチャ重い。栗山緑脚本はまたまたグイグイいく。選曲もいい。『おジャ魔女どれみ』は旧『魔法使いサリー』や旧『アッコちゃん』を意識しているところがあると思う。スタッフの総意なのか、各スタッフの意図なのか。
『♯』40話「春風家にピアノがやってくる!」。どれみ達の父親は釣り雑誌のライターで、ぽっぷのピアノのために原稿料の前借りを頼むがそれは実現しなかった。次に思い出の竿を釣り雑誌の編集スタッフに売ろうする。アニメ雑誌ライターだったら、セルのコレクションをアニメ雑誌編集部で売るとかそんな感じだ。それはともかく、これも傑作。すしおさんが原画で参加したことも当時、話題になった。
ポイントの回のみ視聴だけど『おジャ魔女どれみ♯』を完走。『♯』の最終回は去年の今頃、確認したいことがあって、レンタルDVDで観た。レンタルDVDもdアニメストアも『♯』最終回に『も~っと!』1話の予告がついていない。

2019年11月9日(土)
トークイベント「第163回アニメスタイルイベント 馬越嘉彦の仕事を語る!3」を開催。床屋に行ってから、新宿に。トークのメインテーマは『おジャ魔女どれみ』。参加が難しいと言われていた五十嵐卓哉さんも出演してくれることになり、出演者は馬越嘉彦さん、佐藤順一さん、山内重保さん、五十嵐卓哉さん、長峯達也さん。豪華な顔ぶれとなり、トークも充実。どんなイベントも同じことを二度やることはできないのだけれど、これはまさしく二度はできないイベントになった。
以下は、イベント直前に観た『おジャ魔女どれみナ・イ・ショ』12話「7人目の魔女見習い~のんちゃんのないしょ~」について。『おジャ魔女どれみ』の作劇の方向を考えれば、あってもおかしくない「子供が死ぬ話」。あってもおかしくないけれど、通常のシリーズでやるのは難しいはずで『ナ・イ・ショ』でやったのは順当。あのエピローグ(別の子供がMAHO堂を訪れるのと、死んだ子のセリフ)を入れたのが正解かだったかどうかは難しい。エピローグについては楽屋でサトジュンさんに聞いたのだけど、その話はいずれどこかで。