COLUMN

第584回 今だから言えるとこまで

『ユリシーズ』のオープニング・コンテムービーは
観ていただけたでしょうか?

 最近OPはもっぱらStoryboard Proで曲に合わせて編集とレイアウト・ラフ原を同時にやっていく感じ。自分が小学生の頃にこんなツールがあったら、学校に行く時間以外ずっと触ってたと思うくらい楽しく簡易ムービーが作れます。で、今回のOPの内容は端的に言って本編のダイジェスト。やっぱり大河ドラマのOPアニメは、本ストーリーのダイジェストかつ若干漂うパラレルワールド的な内容にならざるを得ません。

こんな作品を作るつもりです!

と。モノがジャンヌ・ダルクで百年戦争だから「熱い」アニメを作りたいと思って、コンテを切りました! OPアニメの制作はウチ(ミルパンセ)で手分けして作画し、処理(演出)は自分で。キャラデの澤田譲治さんがとても艶のある画を入れてくださって、大変凄い仕上がりになりました。カトリーヌのボロ泣きなどは、コンテよりも断然カッコいい画です!
 そして本編は3話まで放映されました。こちらの作業的には8月上旬で最終話まで上げ切ってたので、現在はひたすら各話のラフ原チェックと追ってリテイク(汗)。ま、毎週フィルムが上がっていく楽しさと、思った画面が上がってこなかった時の悔しさ悲しさ。悲喜こもごもな中で作品を作らせてもらえている幸せを感じる日々です。とりあえず、来年もなんとか作品が発表できて、再来年の作品も決まりそうです。本当にありがたいことだと思っています!
 10年ほど前に一度監督降板をした時「自分も永くないな……」と思ったもので、当然ですが降板の時は本当に悔しかったし、俺にも言い分はありました。準備に少なくとも1年かけて、色々なイメージやアイデアを出した作品から離れなければならないと決まった時に、そんなにあっさり吹っ切れるわけがないでしょう。何せホン読み(脚本打ち)は23話の第1稿まで、コンテ発注が21話まで、コンテチェック・演出打ちは16話まで(ラッシュチェックは15話途中)、結局使われなかったであろう後半OPのコンテを渡した後なんですから。本当に無念だった時、「(監督を)守れなくてすみませんでした」と頭を下げ続けた制作さんや、「それでも板垣がやるのなら」と協力してくださったメーカーさんやTV局の方々のおかげで、少なくとも1年と空けずに今まで監督をやらせてもらえてるのに幸せを感じないなんて、それこそバチが当たるってもんでしょう。重ね重ね、

 そして現在まで仕事が続けてこられたからこそ今、素直に言えます。

当時迷惑をかけたすべての方々へ
本当に申し訳ありませんでした!
今の板垣があるのは皆さんのおかげです!