COLUMN

第569回 大塚さんのお言葉

7月11日は大塚康生さんのお誕生日、87歳おめでとうございます!!

 大塚さんは自分にとってアニメ業界に入っていちばん最初の先生です。専門学校では小田部羊一先生に作画を教わり、プロになってからは大塚さん! 我ながら運がいいアニメ人生の滑り出しでした。板垣がテレコムでお世話になったのは1994〜2001年まで。小田部先生より「僕の教え子」との触れ込みがあったせいか、大塚さんは最初から気さくに話しかけてくださいました。「とにかく画を描いたら何でも大塚さんに見せに行きなさい」と小田部先生にも言われていたので、研修期間からちょくちょくスケッチや原画もどき(原画の習作)を見ていただきました。研修課題だけで手一杯な新人が多い中、寝る時間・遊ぶ時間を削って画を描いては見せにくる新人が、その当時は珍しかったのでしょう。後に後輩づてに聞いた話では、板垣の話題が出ると「アイツは画を見てくれと、しょっちゅう持ってくるんで困った(笑)」と話してたそうで、照れくさくもあり嬉しくもありました。以下は数ありすぎる、そして忘れられない大塚さんのお言葉の抜粋。

「あんた、動画向いてないね〜。早く原画になりなさい」
(緊張でガチガチな板垣の動画を見ての一言)

「今度1日かけてじっくり見てやるよ」
(原画の習作を何回か持っていった時の嬉しい一言)

「あ、燃えてる燃えてる〜、気分(雰囲気?)出てますよ」
(炎の課題を提出した際のこれまた嬉しかった一言)

「うん、ここの水の切り方いいね〜」
(板垣の『CYBERSIX』の原画を指差して……同上)

「こないだ宮崎(駿監督)に会ったら、巧いアニメーター貸してくれないか? 
って言われたんで、馬鹿言うな! って返してきたよ、ひひひ(笑)」
(イタズラっぽく話されてましたが、「巧いアニメーター」はけして俺のことではありません!)

で、何より忘れられないのは、演出家になりたくて退社を決意した時の一言。

あわてることはないんじゃない?

「止めてくださってる!」と感激したものですが、「でも、やっぱり」と自分の意志を伝えました。その時の一言が、