COLUMN

第538回 答えを出すスピード

今年も気がつけば、残り1ヶ月半!

 ま、毎年毎年同様なフレーズが飛び交う時期が来ましたとさ。今年もたくさんコンテ切りました。単純な話、自分は

作画がカット数なら、コンテは本数! 尺数と言ってもいい!

という主義です。以前ここで書いた大塚康生さんの話、「3秒のカットは3秒で描くべき」理論。つまり、芝居やアクションは、現実のスピードに近い時間で描き上げるほど、いいカットになると。これをコンテの話に置き換えると「20数分のコンテなら」となるわけです。これって俺の場合、後輩らに「答えを出すスピード(速さ)」と説明してます。事実、大塚さんは答えを出すスピードがとにかく速い。自分が悩んでいると横から覗いて「板垣くん、ここはこーゆー画を入れないと」と目の前でサササッと描いて見せてくださるんです。

即、答えが出せる職人、カッコイイ!

 こんな大先輩が悠々自適でいてくださったから、アニメーターたちに真っ当な夢を与えることができるんだと思います。だって「これくらい巧くなれば、お金に困ることはない」と体現してくださってるのですから。その「これくらい巧くなったら」の技も見せることができず、私生活の贅沢を見せびらかすだけの先輩は、後輩から尊敬などされません。それは理念・観念を語るだけではダメなんです。実務、実務! とにかくコンテも実務が先。ごく1部の天才を除き、コンテは量を描けてナンボ。

来年もシリーズが控えており、コンテいっぱい描けますようにっ!!