COLUMN

第496回 今年も終わり

『てーきゅう』『ベルセルク』そして『WUG新章』PV
今年もいろいろ仕事させてもらいました!

 2016年もおおむね幸福だった板垣です。毎年、年の瀬になると「自分は1年でどんな進化を遂げたのか?」と思い返すんですが、今年はミルパンセがデジタル作画化し、自分自身も液タブに向かってコンテ・ラフ原・原画をチェックするようになってるって事は、かなりの前進かと! で、年が明けたら作画机を片付けます。まあ欲しい人にあげるか、作画会社に引き取ってもらうか、どちらかで。なにせ作画机は無駄に奥行きがあって場所を無駄に取ります。ウチのスタジオはいわゆる「年配者の特権」は認めないようにしてます。それは自分自身も例外ではありません。皆にPC用のデスクに乗り換えてもらったのに年長というだけで1人場所を占拠するのはダメ、よって作画机を手放すわけ。でも俺、

作画机って大好きなんですよ!

 我々世代までのアニメーターにとって、作画机は半分自宅みたいなもの。机の中に(下に)うずくまって寝泊まりしたり、TV観たり、DVD(昔はビデオ)再生したり、飯食ったりと、生活の大半を共にした相棒(?)かもしれません。それだけにアニメーターが俺様な人ほど「大きくてキレイな机が用意されてあたりまえだろ!」と権威の象徴にしてましたね、実際。そのコンディション(俺様の扱い?)が悪いとスタジオに入らなくなるアニメーターも少なくなく、多くの制作さんが泣かされたものです。ちなみに自分は、そんな俺様クリエイターとは一緒に仕事はしません! ま、そんな俺様も、デジタル作画になると減っていくのでしょう。なぜなら机にPC、手元にスマホで仕事中の音楽・BGVそして資料類すべてが賄えるのですから。事実、今の若いアニメーターたちの机に置かれる私物が、我々の頃よりはるかに少なくなりました。いつでも瞬時に引っ越し可能。羨ましい! しかし、そんな身軽な時代とは真逆な「物に囲まれる快楽」にもいいところはあるんですよ若い人! 例えば好きなマンガ・本・DVDが山ほど置ける作画机は、趣味が一目瞭然。そして、机に残されたラクガキを見れば、その人の画力までハッキリ確認ができます! これがPCだとどうでしょう? 筆休めの娯楽のみならず資料類ですらPC&スマホ。ラクガキはできても他人には覗きづらいデスクトップの中。お互いの事を知るのに、いちいちスマホを擦らなきゃならないのです。これについてはただ、

「時代だ」「便利だ」ではなく、本当に必要な事は何か?

を真剣に考えて使うべきだと思うんです。自らデジタルのツールを使ってみて「これは俺が使って大丈夫!」と。「たとえすべてデジタル化したとしても俺の好きなアニメは作れる!」そんなこんな考えた結果、この度「俺たちの青春」と呼んでも過言ではない作画机に別れを告げようと思った次第です。

さようなら、作画机!
お疲れさま、作画机!!