COLUMN

第493回 先輩として教えられる事

所詮、先輩が後輩に教えられる知識(情報?)には、
ほとんど価値がない!

 ミルパンセで新人の指導をしていて、つくづく感じる事です、コレ。例えば想像してください。「歩く」「走る」「投げる」のモーション(動き)なんて、俺が教えなくても最近のアニメ教本を見たり、スマホでもこすれば大概情報が出てくるでしょう? 基が人間の動きである以上、誰が教えても同じハズ。若い人たちはそれを本能的に知ってて、目の前で俺の喋ってる内容が意味分かんなくてもPCやスマホから回答が返ってくるんです。特にスマホなどは何処にも持っていけるドラ○もん、もうスマえもんですから。困った時はなんでも助けてくれるもんです。我々以上の世代にとっては寂しい話かもしれませんが、その事を覚悟して教え続けるしかないんです!! じゃ、その教える話・情報に価値皆無の現代において、我々先輩側が何を教えられるのか?
 それは

仕事を楽しむ姿勢そのもの!!

なのではないでしょうか? 思えば学生時代にお世話になった小田部羊一先生や、テレコムで指導してくださった大塚康生様、友永和秀師匠らから教わった事も、突き詰めるとそーゆー事かと。小田部先生も大塚さんも「歩き」や「走り」を教えてくださいました。でもモーションの説明自体はそのへんの本のものと大差ありません。ただ、

何十年もアニメをやってきた大先輩が語る
「仕事の面白さ」に感銘を受けた!

んです。お二方とも俺の描いた原画もどきを「あっ、面白い、面白い!」と喜んでくださって「ここをもう少し、こうひねった方がもっと気持ちよく動くよ」とアドバイスしてくださる際、

ね、アニメって面白いでしょ!?

って感じで言葉に出さず優しく微笑んでくださるんです。友永師匠も描いた画に対して厳しくはありましたが、基本「アニメという仕事」自体に楽しく取り組まれる方で、板垣はその背中を見て育ったんです。自分も自分を育ててくださった先輩方のように、後輩にアニメの楽しさを教えられるようになりたいと思ってます!! 以上。