COLUMN

82 アニメ史に残る名悪役

 『亜人』の劇場版最終章『-衝突-』を観た。

 今回もしっかり楽しめた。極めてドライな感覚とエキセントリックさ。先が読めない展開と山盛りのアクション。ハードで刺激的な大人のための娯楽作という印象は最終章まで変わらなかった。作り手の「徹底的にやってやるぜ」という姿勢に拍手を送りたい。

 映像的な事で言うと、3DCGによるキャラクター表現は一段と磨きがかかった印象。ドラマに関しては放映中のTVシリーズ第2クールの方がしっくりくるところがあるかもしれないが、それは放映を観てみないと分からない。

 個人的な好みの話になるが、亜人の一人である下村泉に見せ場があったのも嬉しい。彼女は大変な萌えキャラだと思った。見た目も魅力的だけど、報われない事を分かっていて、命がけで戸崎優に尽くすところが愛おしい。クライマックスで、彼女のドラマについて演出的にもう一押しあったら、僕は泣いていたかもしれない。

 そして、今回も大塚芳忠さんが演じる佐藤が素晴らしかった。インパクト抜群。大塚芳忠さんの演技と、佐藤のキャラクターがぐいぐいと作品を引っ張っていった印象だ。最終章でも凄みのある芝居がたっぷり。これは大塚芳忠まつりだなあ、と思いながらスクリーンを見つめていた。彼の代表作になったのは間違いないだろう。そして、佐藤はアニメ史に残る名悪役になったと思う。

●サムシング吉松のコラムinコラム


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『亜人』公式サイト
http://www.ajin.net/