COLUMN

58『キンプリ』と『同級生』はいいぞ

 ここ数か月、事あるごとに『KING OF PRISM by PrettyRhythm』と『同級生』の話をしている。プライベートでもしているし、イベントやSNSでも話している。先日もあるプロダクションで打ち合わせをしている時に、話の流れで『キンプリ』と『同級生』の素晴らしさについて、熱弁を振るう事になってしまった。今さらではあるけれど、この「アニメ様の『タイトル未定』」でも話しておきたい。つまり、

 『キンプリ』と『同級生』はいいぞ。

 という事である。両作ともまだ公開中である。Blu-rayとDVDの発売が決まったが、それを待たずに、劇場に足を運ぶ事をお勧めする。

 『キンプリ』をすでにご覧になった方には、僕がその魅力について説明する必要はないだろう。ここ数年で僕が観たアニメの中で、最もインパクトのある作品だった。本当にガツンときた。
 パンチが効いた描写の釣瓶打ち。それによって構成された一種のトリップムービーであり、多幸感たっぷり。ぶっとんだ展開ばかりであるが決してふざけた作品ではなく、作品として1本筋が通っている。最近は応援上映が話題になっているが、通常の上映でも十二分に楽しめるはずだ(と言いつつ、この作品の凄さを伝えるために、応援上映の動画を以下にリンクする)。

 『同級生』は珠玉の傑作。演出、作画、美術、撮影、音響のそれぞれのパートにおいて、繊細に作り込まれている。僕は初見時に「今までの全ての商業アニメの中で、最も表現力があるのではないか」と思ったくらいだ。特に中村章子監督の演出、キャラクターデザイン・総作画監督の林明美さんの仕事が素晴らしい。中村さんの監督作品をもっと観たい。それから、この作品は林さんの代表作になったと思う。
 ジャンルとしてはBLだが、このくらいよくできていると、男性の僕でも感情移入して鑑賞する事ができる。おそらくは作り手の狙い通りに、登場人物の佐条利人にエロスを感じた。映像や表現に興味があるアニメファンにお勧めしたい。作画マニアは本田雄さん、西尾鉄也さん達の原画も要チェックだ。

 『キンプリ』と『同級生』はまるで方向性の違う作品であるが、共通点はある。いずれも劇場で公開された作品だが、本編の尺数は60分ほど。劇場で上映する作品としてはかなり短いのだが、短い中に魅力がギュッと詰め込まれている。密度が高いので、決して物足りなくはない。むしろ、何度も観たくなってしまう。
 制作的な事で言えば、尺が短い方がより作り込む事ができる。内容については、このくらい尺が短ければダレ場のない見どころばかりの作品を作る事ができる。『傷物語〈I 鉄血篇〉』『ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!』もそういうところがあった。
 だから、短い作品も悪くない。
 いや、むしろいい。
 『キンプリ』と『同級生』はいいぞ。

(2016/04/13)

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