COLUMN

56 「押井守映画祭2016 第一夜」のトークショー

 2016年4月2日(土)にオールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 79 押井守映画祭2016 第一夜『パトレイバー TOKYO WARS編』」を開催した。上映作品は『機動警察パトレイバー[サウンドリニューアル版]』『機動警察パトレイバー2 the Movie[サウンドリニューアル版]』「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦[ディレクターズカット版]」の3本。『パト2』とその続編である『首都決戦』を同時に上映するプログラムは、このオールナイトが初めてだったはずだ。
 「第一夜」トークコーナーのゲストは押井守監督と榊原良子さんのお2人だった。榊原さんは『機動警察パトレイバー』シリーズの南雲しのぶだけでなく、『スカイ・クロラ』の笹倉永久、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』の人形使い等を演じており、押井監督作品にはなくてはならない存在だ。僕達は以前から榊原さんを「押井守映画祭2016」のゲストにお呼びしたいと思っていた。

 トークは和やかに進行。押井監督は榊原さんがいかに頼りになる女優であるか等を饒舌に語り、榊原さんは難しい芝居を要求される押井監督の作品はやりがいがあると話してくれた。彼女が要求される演技のハードルが高かった作品としてタイトルを挙げたのが、押井守が原作・脚本・監督を務めたラジオドラマ「ケルベロス 鋼鉄の猟犬」。それは2人にとって思い出深い作品であるようだ。
 昨年開催した「押井守映画祭2015」のトークで、押井監督が『機動警察パトレイバー2 the Movie』制作時に、南雲しのぶの人物造型や台詞まわしについて意見が対立し、関係が修復されるまで時間がかかったというエピソードを語っている。今回のトークでは、同じ出来事について、榊原さん側からの話をうかがう事ができた。
 トークの後半で押井監督に『首都決戦』を『パト2』の続編にした理由等についてうかがったが、それはイベントトークの「ここだけの話」。このコラムで、その理由を紹介するわけにはいかない。いつかオールナイトのトークで語られているような、リラックスムードの打ち明け話を活字にしたいとは思っている。

 今回のオールナイトでも、初めて『劇パト』や『パト2』を、あるいは初めて『首都決戦』を観るというお客さんが何人もいた。「押井守映画祭」は熱心な押井ファンだけでなく、押井作品のビギナーにその魅力に触れてもらう事を目的として企画したものだ。その意味では今回の企画も成功だったといえるだろう。そして、1人の押井守監督ファンとしては、押井監督が榊原さんと、会場を埋めつくした観客を前にして、にこやかにトークをする姿を目にする事ができたのが幸せだった。
 「押井守映画祭2016」は「第二夜」「第三夜」も企画中だ。皆さま、お楽しみに。

▲楽屋にて。押井守監督と榊原良子さんの記念写真

▲今回のトークは押井監督の笑顔が多かったのが印象的だ

▲トークの司会は、今回も小黒が担当。今回もプランナーの桑島龍一さんに登壇してもらった

▲押井監督と榊原さんによるサイン色紙

▲「押井守映画祭2016」のために西尾鉄也描きおろしのポスターを作成

(2016/04/08)

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