COLUMN

第457回 「コマ割り」と「カット割り」

 最近「マンガ原作」のアニメ化が多い板垣です。ちなみに現在制作中の大作シリーズ(まだタイトルは明かせません)も原作はマンガです。ところでこと「マンガ原作」となると、一般のファンの方には

なんでアニメスタッフは黙ってマンガのコマどおりの画を再現しないの!?

と思われる人がいるのではないでしょうか? ハッキリ言うとマンガのコマを繋ぐだけではアニメの前にフィルムにならないのです! 例えば

 こんな安直な置き換えで絵コンテになるわけがありません。なぜなら、

マンガの進行が読者の「読み進めよう!」という能動性に委ねられてるのに対し、アニメ(フィルム)は作り手(スタッフ)側の意図、「このカットをこの尺でこのアングル、このタイミングで観よ!」を視聴者に強いるモノだから!!

です。つまり「読者は能動的」で「視聴者は受動的」、実はマンガとアニメはお客さんの性質が真逆なんです! 上図の縦長のコマは、ページ内の他のコマとの対比で大ゴマだから「ガーン!」という驚愕を読者は察するんですが、フィルムの場合フレームのサイズはすべて同じであるため、大ゴマのハッタリは視聴者には効かないわけです。だから、

同じ演出意図がクリアできる別のサイズ・アングルを動きを加えて繋ぐ!

という事になります。もちろん自分は原作のコマがフィルムに活かせる場合は、サイズもアングルもそのまま使用するし、コピーだって平気で貼ります。監督(演出家)によっては「マンガのコマをそのまま使うのは沽券にかかわる」と考える方がいるとも聞いた事があるのですが、俺は

フィルムを作る事の本質は、自分の画がすべてを占めてるかどうかではなく、全体の「流れ」を作る事!
だと思ってます。
あ、そうだ!! マンガとアニメの演出話で分かりやすいのが、こないだのクマの話。『てーきゅう』第77面「先輩とテッド」のラスト!

と思い出したトコでスミマセン。コンテに戻ります!