COLUMN

第430回 原作とシナリオ

 前回の続きっぽく、またシナリオ(脚本)の話、追加分。アニメのシナリオはだいたいが、

・話自体がアニメオリジナル!
・原作はあるけどオリジナル加味!
・完全原作準拠!

の3つに分けられると思います。一つめ「アニメオリジナル」の場合、自分の監督作品では『バスカッシュ!』とかがこれで、あるのは企画書に書かれた大雑把な人物配置と世界観のみ。そこに監督とライター(脚本家)で「どんなお話にする?」というところから話し合う——これは皆さんが想像しやすい額面どおりのシナリオ作り。
 2つめの「原作+オリジナル」、初監督の『BLACK CAT』や『Devil May Cry』などがこれにあたり、最初から「オリジナル要素を入れてアニメ化」と企画(依頼?)され、こちらもライターさんと「原作の世界観・キャラ設定から外れないように」お話を考えます。自分にくる仕事でいちばん多いのがこのパターンで、自分でもシナリオ書いたりいろいろ勉強になります。
 で、3つめの「原作準拠」パターンが『てーきゅう』シリーズであり、まだタイトルが発表できない現在制作中のシリーズもこれです。これが前回話題にした「原作どおりなのになぜシナリオがいるの?」で、実際、監督やライターさんで気づいてる人がかなりいるはず! 俺も新人の頃、各話のコンテ・演出で参加した某TVアニメシリーズで、渡されたシナリオとその話数にあたる原作マンガのコピーを基にコンテ打ちをした挙げ句、結局監督さんから

原作コピーの方が情報が多いから、そっち見てコンテ描いてください

とぶっちゃけられました。そう言われた時の自分、演出なりたてだったのもあって、かなり「?」でした。

でも、各話演出だった時は気づかなかったのですが、自分で監督してみると

限られた尺(時間)内にフィルムを収めようとする際、(前回も言いましたが)「画」を外して文字(音)数で分量を調整する事の重要性!

に気づかされたのです。つまり「劇(物語)」は台詞と間で描かれるもの——見開きや大小さまざまなコマ数で自由な情報量をぶち込んでくるマンガは、一概にページ数で尺は測れないし、削るべき箇所とそうでない箇所も、画があると冷静に判別しづらくなります。画って「ここ可愛い♡」とか「カッケー!!」とか情が湧いちゃいますから。
 あ、原作といっても途中からマンガに限った言い方してましたね、すみません。じゃあ、小説が原作の場合は——。