COLUMN

第423回 ぐだぐだ作画話

 前回ぐだぐだなCG話で終わったので、今回は作画の話から始めてみますか!(もうすでにぐだぐだ感?)まず、いきなりですが

図A(A1→A2)と図B(B1→B2)どちらの動きが大きく見えるでしょう?

 ま、考えるまでもなく図Bの方がメリハリのある大きな動きに見えますよね。つまりこれは同じ「パンチをくり出す2枚の原画」でも「有効に使われているか否か?」の差です。検証してみましょう。黒く塗り潰してシルエットにすると分かりやすいのですが、図Aの場合

 A1とA2でシルエット(ポーズ)の変化はほぼなく、手も頭も胴体も「同じ方向に同じ幅」動いており、言うなれば「全体塊で拡大しただけ」です。残念ながらこの手の原画を大量生産して、演出が豪華にするつもりで中割りを1コマ打ちして中枚数を増やしたところで「気持ちいい元気な動き」には何も寄与しません! こんな原画を何枚描いても、描いた本人(原画マン)もそれを割らされる動画マンも塗らされる仕上げさんも、誰も得しませんから。それに対して図Bの場合、

 B1とB2ではっきりシルエットの変化があり、手・頭・胴も「すべて違う方向」に動き且つ右拳が手前へくり出されると同時に、頭・胴を奥へ引く事で本来いちばんの目的である「パンチをくり出す」アクションをくっきり浮き立たせる事に成功してます。これなら中割り(動画)1枚で繋ぐだけで充分元気に動きますし、気持ちいいメリハリも生まれます!(皆こーゆー原画を描いてほしい!)つまり原画とは画をたくさん描く事が先なのではなく、「有効な力の分散(分解)を画に描き起こす」事の方が先なのであり、

「各々の原画がちゃんと有効に力を発揮すれば、中割りなどなくても視聴者さんが脳内で補完してくれる」はず!
それがアニメ『てーきゅう』なのです!!

 そしてそれは塊ないしはフィギュア・立体物として舞台に立たせてモーションを付けていく3DCGよりは「線で直感的に描ける」手書き(作画)こその得意技——最大の魅力だと信じてます! 少なくとも今は。