COLUMN

042 『宇宙船サジタリウス』のキャラクターの年齢(2014年10月8日)

 昨日「アニメスタイルが選んだ『アニメファンなら観ておきたい作品50』」を発表したところ、大勢の方から感想をいただきました。ありがとうございます。50本の中の『超神伝説うろつき童子2 超神呪殺篇』と『MEZZO FORTE』は成人向け作品でしたが、未成年の読者もいるのに、注をつけるのを忘れていました。申し訳ありません(すでに注は足してあります)。
 それから「イデオン」に関しては、TVシリーズの『伝説巨神イデオン』と、劇場版の『THE IDEON A CONTACT 接触篇』『THE IDEON Be INVOKED 発動篇』をあわせて、折衷案としてタイトルを「イデオン」と表記しました。気になる方がいたようなので、記しておきます。

 さて、ここからが今日の本題だ。事情があって『宇宙船サジタリウス』を再見している。「アニメスタイルが選んだ『アニメファンなら観ておきたい作品50』」でノミネートに入っていたが、惜しくも50本に残らなかったタイトルだ。
 宇宙を舞台にし、動物のような外見のキャラクターが活躍する作品だ。登場人物の人間的な弱さ、情けなさをたっぷり描いて、そのうえでドラマチックな展開にもっていく。人間にとって大切なことはなにか、そんなメッセージをストレートに伝える作品であったが、視聴者にクサいと思わせない作劇になっていた。
 昨日は第1部「ムー大陸の謎編」を観た。「ムー大陸の謎編」の脚本は、後に実写畑で活躍する一色伸幸。今観ても十分に面白い。当時の一色さんは、まだ20代半ばであったはずだが、若書きゆえの頼りなさはほとんど感じない。もしも、このまま彼がアニメの仕事を続けていたなら、どんな活躍をしたのだろうかと考えないわけにはいかない。
 『宇宙船サジタリウス』の主人公は20代のジラフ、30代のトッピー、40代のラナの3人だ。この作品の放映が始まったのが、1986年1月10日。僕は21歳だった。気弱な青年であるが、愛する女性・アン教授のために宇宙に飛び出したジラフは、自分よりも少し年上の印象で、妻子のいるトッピーとラナは、ずっと年上の大人だった。「大人は大変だなあ」と思いつつ、彼らが繰り広げるドラマを楽しんでいた。
 放映開始から月日が流れて、僕はラナよりも年上になってしまった。10話「子供にわからない親の気持ち」において、トッピーとラナが勤めていた宇宙便利舎が倒産。彼らはライバル会社の宇宙コスモサービスに就職することになった。宇宙コスモサービスで働き続けるためには、仲間のジラフに嘘をつき、彼がアン教授を探すのをとめなくてはいけない。宇宙コスモサービスを首になったら、トッピーとラナは愛する家族と一緒に路頭に迷ってしまう。
 トッピーもラナも、子どもの頃は、大人が嘘をついたり、都合によって言うことがコロコロと変わったりするのが嫌いだった。しかし、そう思った自分も、大人になってしまえば、裏表なく正直に生きるのは難しい。2人は葛藤の末に「今だけ子どもに戻るか」と言って、ジラフを逃がすことを決意する。
 本放映時にも好きだった場面だ。トッピーとラナは、子どもの頃に感じた「大人の嫌なところ」と、大人になった自分たちを照らし合わせて、その上でなにをするべきかを判断する。トッピーが、嘘をついた父親も辛かったのだろうと察するところもいい。
 いい場面だなあ、と思ったのは当時も今も同じだが、今回の視聴では、彼らの言動を見て「ラナの言動が若々しいなあ」と思ってしまった。


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