COLUMN

第384回 またまた『てーきゅう』

 『劇場版ヴァンガード』の話は公開前なので詳しくは後ほど。という事で、ついこないだ発表された、
です! 『劇ヴァン』終わってすでに打ち合わせが始まってる現状。「アニサマ」のけやき広場ライブ(8月31日)のたしか前々日深夜、プロデューサーより「4期制作決定を発表します!」と言われ、「監督ライブ来れません? ルーツ先生もPiyo先生も来ますから」とオファー(?)されたのですが、「急な話すぎて駆けつけられません!」というわけでした。両先生ゴメンナサイ!!

 そんなわけでついに発表された「4期制作」、実はベストセレクション放映よりずっと前から、もっと言うと3期が終わった直後から「4期、4期!」と話題には何度ものぼってたんですが、諸事情ありまして発表が今となりました。ちなみにベストセレクションの選抜に自分は関わってません。プロデューサーの独断だと思います。監督的ベストセレクションは以下(順位をつけてみました)。

1位 第4面 先輩とグーニーズ(これに優るオチはない!)
2位 第9面 先輩とディナーラッシュ(まりも1人でボケ倒すのが好き!)
3位 第34面 先輩とドリームキャッチャー(まりも1人で状況すべてにツッコミまくるのが好き!)
4位 第35面 先輩とトゥモロー・ネバー・ダイ(テニスシーンとオープニングを楽しく描きました!)
5位 第16面 先輩とピンポン(卓球を楽しく描きました! 台形とか好き!)

 でも、書き出してみると結局全部好きな気がしますね(いい加減)。まあ夢は

て感じ。あと個人的な都合で

『劇ヴァン』のあと『てーきゅう』を作るのがいい結果をもたらすかも!

と思ってます。つまり(作画)枚数をしこたま使える劇場作品から極端に少ない枚数の『てーきゅう』、一見まったく違うアニメに思われるでしょうが、俺にとっては

どちらも同じアニメ!

です。かなり前に言ったと思いますが、アニメとは

尺も芝居も画作りも、フィルムの情報すべてが作り手の作為によるモノ!

であって、制作費(かけられるお金)の大小は作る際の「条件」に過ぎません。むしろ純粋に「カット割り」のみで言うなら、『てーきゅう』くらい少枚数の方がカット割りの機能(変な言い方?)自体がくっきり浮かび上がる、って事はつまりカット(画)の切り替わりがリズムになってフィルムのテンポ感として視聴者に視覚的快感を与えます。そこへ台詞の掛け合いを早口で詰め込む事で、聴覚的快感も重ねる——これがアニメ『てーきゅう』の本領だと思ってます。成功していれば「あれ? 今走り去ったギャグって面白かったの?」と考えがまとまる前に次のネタが気持ちよく入ってきて、意味が分からないうちに「生理的納得」に到達するんじゃないかと。

論理的に理解させるのではなく、エモーショナルにギャグを感じさせる!

を目標にして作ってるのが『てーきゅう』なんです。一方、「エモーショナルにカードゲームを感じさせる」が『劇場版ヴァンガード』なわけで、観ていただければ一目瞭然。カードゲームの棋譜の流れを説明するのではなく、感じさせるリズムで見せるように心がけました。加えて『劇ヴァン』はカット割りだけでなく遠慮なく枚数を使った「動きのリズム」にも気を遣ってます(そのあたりは9月13日に劇場に足を運んで確認してください)。結果、ゴージャスに動く映画を作ったあとに作る超少枚数アニメになんらかの影響を及ぼすような気がするんです。現に『ベン・トー』のあとに作った『てーきゅう』第1面は、今観直すと他のどの話数よりも動いてますから。