COLUMN

第378回 劇場とTV(2)

どうやら自分より10年以上先輩の方々にとって「劇場」というのは別格な仕事らしいです!

 テレコムに入社した年、動画をやった『耳をすませば』『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』(ともに1995年公開)をさして先輩方は「1年めで劇場作品ができてよかったね!」と仰ってました。自分は正直ピンときませんでした。別に劇場だけど、作画作業自体は原画をトレスして中割りを入れるなど、普通に動画するだけです。作画用紙は少し横長(ビスタサイズ)になるけど、鉛筆や消しゴムはTV作品となんら変わりません。それでもなお「劇場、劇場」と崇める風習がアニメ業界に根付いているのは単純に

TVの方が後発だから!

でしょう。これはたぶん実写の世界でも「俺の作品がTVなんかで流せるか!」と意地を張った映画監督がいたはずです。TVはお客が金を払わずタダ(無料)で且つ小ちゃい画面で観るお手軽なモンだ、と。ただ、生まれた時すでに映画とTVが常に並列にあった我々の世代以降は、映画とTVの差ってそれほど感じないと思います。むしろ、ことアニメに関してはその手軽さゆえ劇場アニメよりTVアニメの方が身近な存在に感じてるくらいです。
 というわけで「劇場アニメ至上主義なぞくたばってしまえ!」と思う自分ですら、時として「劇場」という免罪符を便利に使う時があります。例えば

「劇場」という言葉はすべてのスタッフに納得を強要する事ができるとても便利な呪文(?)です!