COLUMN

第363回 Wake Up, 板垣!(3)

分かってますよ!! 演出家がカット割りやアングルの意図などを
こーゆー場で説明する事がみっともないって事くらい!

 でも、もともとこの連載始めた頃にも書いたとおり、スーパーアニメーターでも超監督でもない自分に書ける内容ったら仕事まみれの私生活の切り売りくらいしかないと思ってるので、恥をさらす覚悟で解説します、『Wake Up, Girls!』第10話のコンテを! ちなみに今回は演出も作画も自分でやってないため、あくまでコンテの話のみです。

 まず全体的に『Wake Up, Girls!』(以下『WUG』)という素材自体が「未成熟なアイドルの物語」だと思ったので、カット割りやシーン繋ぎもヤンチャな事をいっぱいやろうと思ってコンテを切り始めました。まあ俺の場合いつもそうですが、いわゆる「映像の教科書」的なルールを普段以上に意識しませんでした。その意図をご理解いただけたのか、ヤマカンさん(山本寛監督)は俺のコンテをほとんどそのまま使ってくださいました。冒頭、スズメを見てる実波からにしたのは、板垣自身が『WUG』という作品に入りやすくするため、一人外れたトコにいるキャラが皆の話題を聞きつけるように近づいていきたかったからです。この場合キャラ的に実波が具合がいいかと。あとシナリオ的に「話に聞き入るWUGたち」と書かれてても、

7人の女子が全員同じように話を聞くハズありません!

同じ事が次のシーンの熊谷屋(藍里の自宅)での菜々美だけ少し外れた位置で雑誌を読んでる、にも言えます。で、WUGメンバーたちがあちこちの仕事場で「私たちの良さって?」と尋ねまわる点描シーンはテンポを出すため、なるべく直接彼女らにカメラを向けずカメラも少し外し気味にして、後にレッスン室で車座になるシーンは皆の表情をじっくり見せる——メリハリを出したつもり。足元に置かれたペットボトルの間を、夏夜の足が右から左へ駆けてOUTし、次のシーンは左から右へ駆ける真夢と藍里の足、も映像教科書至上主義の方からは怒られる繋ぎでしょうね。「MACANA」のライブシーンの止め、ポーズは適当に描きました。帰り道の「男鹿なまはげーず」登場! のシーンは結構好きです。ヤマカンさんも自分も「ス○バン刑事」はドハマリ世代なので斉藤○貴と南○陽子と浅○唯を思い出しつつ「東映TV特撮主題歌大全集3」のDVDを観返して楽しく描きました。なまはげは写真資料で。
 以下、続く! 親知らずの抜歯後が痛いっ!!