COLUMN

017 『蒼き鋼のアルペジオ』と萌えとコメディ(2013年11月12日)

 『蒼き鋼のアルペジオ ―アルス・ノヴァ―』は放映開始前に1話と2話を試写会で観せていただいた。ストーリーも面白いし、映像も魅力的だと感じた。メカ戦はTVシリーズとしては破格の物量とクオリティで、大変に見応えがある。いや、物量と作り込みだけでなく、メカ描写についてのセンスもいい。キャラクター描写に関しては、メンタルモデルと呼ばれる少女たちがいい。公式サイトでは、メンタルモデルについて「イ401および霧の重巡洋艦以上の艦艇のみが有する、ヒト型の意識体」とある。つまり、登場する艦艇のパーソナリティが人間の姿として現れたものと考えればよいのだろう。
 読者諸君もご存知のように『蒼き鋼のアルペジオ』は3DCGで制作されている。作画マニアの目で見ると、人間のキャラクターについては芝居に硬いところがあり、それが少しばかり気になるが、メンタルモデルについては文句なしだ。ロボット少女的な存在である彼女たちは、3DCGの表現とマッチしている。ヒロインであるイオナのお人形さん的な感じは、手描き作画で表現するのがむしろ難しいだろう。作り手の愛情が込められているのもいい。3DCGで萌えを表現しているのにも感心した。
 先週放映された5話「人ならざるもの」では、船体を失ったメンタルモデルのハルナと、ユニオンコアだけになったキリシマが、蒔絵という少女に拾われる。通常のハルナは冷静な少女であるのだが、いつも着ているコートを脱ぐと性格が一変し、しおらしくなるようだ。蒔絵に気に入られたハルナは、色々な服を着せられて、髪型をいじられる。普段は冷静なハルナが、可愛い服を着せられて恥ずかしそうに顔を赤らめる。あまりの恥ずかしさに「堪忍してつかあさい」と、メンタルモデルばなれした愉快なセリフを言う。コートを着た途端にいつもの彼女に戻るのだが、その時に「シャキーン」と音喩を口に出すのがまた可笑しい。ハルナは下着姿も披露。浴室で蒔絵に背中を洗われる場面はなかなかセクシーであった。キリシマはクマのヌイグルミになってしまうのだが、食事シーンで彼女が間違ってニンジンを食べてしまうところは、演出のキレがよかった。5話Aパートは、キャラクターものとしてもコメディとしても完成度が高く、非常に楽しめた。3DCGの作品を、キャラクターもののアニメとして、こんなに楽しんだのは初めてかもしれない。

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