COLUMN

第342回 「アニサマ」様のムービーの話(3)

 前回触れたように、「アニサマ2013」OP・EDムービーの過去・現代・未来の設定はいただいたプラニングの中にすでにありました。

で、1日目は過去——中世風の舞台で鎧と剣でチャンバラ!

です。「アニサマ」ムービーのキャラクターデザインは『戦勇。』のOPでもご一緒した田澤潮さん。またご一緒したいと思ってた方なので、今回とても嬉しかったです。自分の場合どちらかというと硬質なカッチリとしたフォルムで描かれる作監さんとコンビを組む事が多いので、田澤さんのようなやわらかい画は大変衝撃的でした。それでいて今風な流行りの美少女に流されない独特の個性を放ってて魅力的なんです。この仕事に入る前に里見(哲朗)Pの薦めで、田澤さんの監督作『一輪者』を観たんですが

素晴らしいっ!

の一言でした。むしろ正直、「俺の出る幕ないじゃん! こんな凄いの作る人に対して、自分が監督として指示出すなんてできねーよ!!」って思ったくらいに。なので「どーせなら恥をかくのを覚悟で逆にこっちが勉強させてもらおう」とコンテ切りました。「1日目」で自分が田澤さんに出したキャラのオーダーは

主人公はツインテールで!

くらいです。これはアニサマ・齊藤Pより

一応、1日目〜3日目まで、それぞれで完結っぽくした上で、かつ時空を越えたキャラがいるとか

みたいな要望(?)があったので、「だったら誰が見ても”またあの娘だ!”と分かる記号化ふが必要でしょ」と。でも、そこもやっぱり流石の田澤さんで、ひとつ間違えるとロリ系美少女の記号になりがちなツインテールをカッコよく凛とキメてくれました! あと敵のデザインも上がりを見て驚きました。シンプルで動かしやすくてハッキリとしたシルエット、というと量産型の敵デザインの必須条件を満たしつつ、これもやっぱり独自の世界観を持ってて。田澤潮さん——ご自身じゃとても温和な雰囲気の方なんですが、画のスタイルを見る限り、本心は「いつも尖っていたい!」と思ってるようにお見受けしました。逆に自分などは田澤さんに比べるとうるさいだけで大して尖ってませんから(苦笑)。ちなみに田澤さんと自分は同い年。

一輪者 ICHIRIN-SHA