COLUMN

003 『ワタモテ』とカタルシス(2013年10月2日)

 『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』は面白い作品だった。最初はあまり入れ込んでなかったのだが、観ているうちに目が離せなくなった。演出のキレもよく、大沼心監督の代表作になるだろうと思う。
 主人公のもこっちは他人とコミュニケーションをとるのが苦手であり、友達はほとんどいない。高校に入ってからの2ヶ月間で、一度も同級生と話をしなかったくらいだ。自意識が強く、思い込みが激しい。アニメやゲームも好きだ。『ワタモテ』はもこっちの痛さを執拗に描きこむ作品だった。
 他の視聴者はどんな想いで『ワタモテ』を観ていたのだろうか。「痛くて観ていられない」という人もいるだろう。その気持ちもよくわかる。僕はあそこまでコミュニケーション下手ではなかったし、あそこまでネガティブでもなかったが、もこっちに自分の学生時代の痛かった記憶を重ねて観ていた。そして、もこっちの痛さを観ることには、不思議なカタルシスがあった。そのカタルシスが僕にとっての『ワタモテ』の魅力だった。僕が一番好きだったのは、もこっちが理想の部活を妄想するパートで、あれは特に痛くて、切なくて、それがよかった。

[関連商品] 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 第1巻[Blu-ray] http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00C94VTGE/style0b-22/ref=nosim

[アニメスタイル ONLINE SHOP] 「少女革命ウテナ画集 The hard core of UTENA」、「アニメスタイル004[惡の華バージョン]」、「月刊アニメスタイル」第2号~第6号を販売中です http://animestyle.jp/shop/

[アニメスタイル・イベント] 2013年10月19日(土)「新文芸坐×アニメスタイルセレクションVol.49 新作『寫眞館』公開記念 なかむらたかしとその作品」 http://animestyle.jp/2013/09/27/6180/

2013年11月2日(土)「新文芸坐×アニメスタイルセレクションVol.50 BONES SPECIAL 2013」 http://animestyle.jp/2013/09/17/6057/