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第16話 総集片

第16話 総集片

●これはまだ運命に気づかぬ1人の男の物語──。新たなる展開への橋渡しとなる総集編。演出を手がけたのは企画にも名を連ねる山賀博之。実写映像も織り交ぜた巧みな構成がさすがだ。冒頭、独特の字体でサブタイトルを描いている手の主は、もちろん今石監督。

演出/山賀博之

取材日/2007年11月9日、2007年12月11日、2008年1月16日、2008年2月20日 | 取材場所/GAINAX | 取材/小黒祐一郎、岡本敦史 | 構成/岡本敦史
初出掲載/2008年1月28日

── 総集編は最初から入れる予定だったんですか。

今石 いや、20話あたりのコンテ作業をしている頃に決まったような気がしますね。4月1日にオンエアが始まるから、放送週が27週ある。計算してみれば1週余るのは当然分かる事だったんだけど、「今は見なかった事にしておこう」と(笑)。ヤバくなった時の切り札に取っておいて、多分どこかで総集編になるだろうな、とはうっすらと思っていました。

真鍋(広報) 実際、15話が佳境に入ったぐらいのタイミングで、次の話数の制作がヤバいという話になったんです。そこで山賀(博之)さんが「じゃあ、俺やるわ」という事で、16話は総集編になりました。新作カットは一切作らない、ありものの素材だけでやるという事だったんですけど、確か3分だけ新作カットを入れてほしいという要望がTV局からあって、作画している余裕はないので、実写を入れたんです。

── ああ、それで手の映像が入ってるんですね。

真鍋 そうです。あれが3分の新作カットです。

── 凄いトンチですね(笑)。あの字を書いてる手は、一体誰の手なんですか?

今石 いろんな人が書いてたよね?

真鍋 実は、最初はスタッフ全員で、1人1フレーズというかたちで鉛筆で書いてたんですよ。撮影室を作って、病院の検査みたいに1人ずつ呼ばれて。だけど、あまりうまくいかなかったみたいで、途中で誰か1人にマジックで書かせてるらしいです。

大塚 武田(康廣)さんかな。

真鍋 だと思うんですけど。おそらく、人によって字体が変わってきちゃうのと、鉛筆だと線が細すぎたんじゃないですかね。それで、マジックで書いて白黒反転にしたという。

今石 サブタイだけ僕が書いたんですよね。

── 監督からは、総集編に関して何かオーダーはなかったんですか。

今石 ゼロですね。全部お任せしますと言って、何にも立ち会わなかったです。16話に割いた時間は、サブタイを書いた1時間ぐらいだけですよ。オンエアされるまで観てなかったですから。

大塚 そうなんだ。

今石 うん。オンエアで初めて「ああ、こうなったんだ」って。ダビングも行ってないし、編集も立ち会ってない。逆にそうじゃないとやる意味がないんですよね。そこで僕なり大塚さんなりがあたふたしてたら、何のスケジュールも救えない(笑)。

大塚 俺はどっちみちやれなかったけど。

今石 大塚さんがいちばん厳しかったですよね。15話と16話、いや、オンエア17話の演出をやってたわけだから。

── ああ、この後は制作話数と放映話数がズレていくんですか。

今石 そうです。まあ、ここでは放映話数で言った方がいいでしょうけどね。

真鍋 宣伝マンがいちばん大変でした。社内では制作話数で話してるんですけど、外に出た瞬間、放映話数で話されるので、どっちだっけ? と混乱してしまう(笑)。

大塚 さすがに現場では今から変えると混乱すると思って、制作話数のまま通す事になりました。

今石 20話ぐらいまで作業が進んでましたからね。ホントは15.5話にしたかったんだけど、残念ながら無理でした。

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