COLUMN

第287回 アニメ『てーきゅう』の作り方(1)

仕事というのは半分以上が縁で決まる!

というのがいつもの実感です。なんとなく「最近尺の短いシリーズって増えてない?」とかよく周りの人と話してた時に来たのがまさに『てーきゅう』です。しかも(制作会社の)MAPPAさんからは最初別の企画の話をいただいてて、そちらが中止になって急きょやる事になったという……。で、前回(第286回)の「え? 2分?」に繋がります。その際、会社側から出されたオーダーが

できる限り少人数のスタッフで!

でした。与えられたオーダーはなるべく受け入れるというのが自分の主義なので、今回キャラも描きました。実際は『迷い猫オーバーラン!』の時はデブ猫を描いたし、『ベン・トー』も一部自分でキャラを描いたりしたので、キャラ自体描くのは初めてではないんですが「キャラクターデザイン」とクレジットされたのは今回が初めて。とはいうものの原作の作画をなさってるPiyo先生の画がとても可愛くていい味出してるので、なるべく原作に沿ったキャラにしました(……したつもり(汗))。いや、仕事に疲れたときになんとなく原作本をパラパラめくると凄く癒やされるですよね、Piyo画に! 実は最初、女性の方かと思ったんですが、後に(アフレコ時)お会いしたら

でした。でも『てーきゅう』の画から受けるやさしくてやわらかい雰囲気まんまな感じでとても好印象。ちなみにルーツ先生は「するめいか」まんまな感じでした。ちょっと時間軸(?)は飛びましたが、キャラ作りの話に戻ります。ま、そんなわけでPiyo先生の画に自分が考える女子高生の可愛さを多少……自然にのっかったキャラに仕上がってると思います。本編の作画作業の時も原作片手になるべく画の味を再現する事を心がけつつ、演出・カット割り的にもできるだけ原作に合わせる描き方をしてます。やっぱり「ギャグ」ってオリジナルーーつまり

原作者の方が「これ笑える!」と直感で描いたネタ

がいちばん大事だと思ってて、それを越えるネタが出せないくらいなら原作のままやった方がいいんです(あくまで「ギャグのネタ」の話)。昔(俺が子供の頃)、読んでた好きなギャグマンガがアニメ化された瞬間笑えなくなってたんです(そーゆーのたくさんありました、1980年代は)。しかも大概つまんないのが原作にないネタが足されてる場合がほとんどでした。プロの作り手になった今ならば、それらの失敗が1話13〜15ページしかない話を15分にも30分にも引き伸ばす事を番組的に強要されてたというのが分かるんですが、当時は「なぜ笑えない?」と疑問符でいっぱいだったわけです。で、今回の作品はなにしろ

2分!!

 これは「アニメオリジナルギャグを足す」よりは「いかに原作のギャグをテンポよく繋げるか?」に心血を注ごうと思うのは演出的にあたりまえで。結果、これもアフレコ時にルーツ先生が「原作が(2分間に)全部入ってる!」と笑ってくださいました。ちょっと短いけど今週はこのへんで。

●『てーきゅう』公式サイト
http://te-kyu.com/

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